書評<戦闘機と空中戦(ドッグファイト)の100年史>

飛行機は発明とほぼ同時に、戦争の道具となった。偵察機として使われるそれが敵の偵察機とぶつかれば、それは撃ちあいとなること必死である。こうして始まった空中戦は、第一次世界大戦で本格的なものとなり、第2次大戦では戦争の行く末を変えるものとなった。本書は現代までの「空中戦の100年史」の間に起きた技術革命を区切りしながら、空中戦の過去・現在・未来を解説する。

現代戦の基本は第一次大戦で確立した、とはよく言われるが、空中戦もまたそうであることが本書の最初の感想である。スピード、テクノロジーは進化すれど、戦闘機が直面する現実、使命は変化していないと言ってもいい。著者の解説もその点で一貫している。例えば、最新の革新の一つであるデータリンクについては「戦闘機が無線を積んだとき以来のコミュニケーションの革命」としている。混乱する戦場で使用するテクノロジーが進化しようとも、その根っこにある概念そのものは100年前となんら変わらないのだ。現代僟ファンも二次大戦機ファンも興味深く読める歴史書である。

初版2016/09 潮書房光人社/ハードカバー

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書評<死神の報復>


本書はアメリカとソ連を中心とした、大量破壊兵器という”死神”の管理と削減を巡る重厚な歴史書である。世界のあらゆる場所で凄惨なテロが起きる現代と比べると、冷戦と呼ばれる時代は世界は安定していた、との見方もある。しかし、実際には超大国が互いを滅亡させる核ミサイルを所持するどころか、敵のICBM発射を探知して自動的に報復のICBMを発射する”自動報復装置”たるシステムまで稼働していた。まさに人類の危機である。そうした危険な状態を解消するための「核兵器全廃」の夢を抱えて当選したのがレーガン大統領であった。一方、ソ連は国家システムが破たんしかかっているところで、改革者たるリーダーが現れた。ゴルバチョフ書記長である。本書は前半で冷戦時代末期の大量破壊兵器を巡る超大国の駆け引きを描く。
後半は、ソ連崩壊後の世界を守った官僚たちの戦いの物語だ。ソ連崩壊後、杜撰な状態で保管されている核物質やBC兵器の管理をどうするのか。かつては(今も)地図に掲載されていない秘密都市に乗り込み、大量破壊兵器の拡散を防いだからこそ、世界が懸念する「核テロ」は今のところは発生していないのだ。

共産主義に”勝利”した資本主義は行き詰まりを見せ始め、人々はそれにノーを突き付けつつある経済状況。テロと内戦、それに伴う難民の大量発生。世界は目の前の事態への対応に精いっぱいだが、大量破壊兵器は消えてなくなったわけではない。時代がブロック経済に振れるとして、そのときの核兵器の扱いはどうなるのか?そうした懸念が絶えない今こそ読むべき本であると思う。特に、レーガンを信奉してるらしいトランプ次期大統領は。レーガンは自由主義者で敵対者を攻撃したが、一方で安全保障面でロマンも抱いていたのである。

初版2016/08 白水社/ハードカバー

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陸自玖珠駐屯地開設59周年記念行事に行ってきた

大分県の陸自玖珠駐屯地開設59周年記念行事に行ってきた。玖珠駐屯地は第4師団と第8師団の戦車部隊が同居する駐屯地。西方重視の方針から、10式戦車の配備が早々に始まっています。74式戦車は今年でお役御免という話もあるみたい。
玖珠駐屯地には初めて来たのですが、戦車部隊の駐屯地のわりには狭い印象。チラっと戦車を見た後は、訓練展示が実施されるグラウンドのそばへ陣取る。
エライ人の挨拶も、時事問題はトランプの話。短めに済んで、まずは観閲行進。
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その後、いよいよ訓練展示。
設定は島しょ部を占拠した敵への着上陸反撃。艦砲射撃の後、バイクで偵察。いろいろ事情はあるんでしょうが、この場面だけは設定に無理が...
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んで、87式偵察警戒車で威力偵察。
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次に、AAV-7が戦域に侵入して偵察部隊を回収。AAV-7、すごい排気で、戦場では目立ちそう。

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その後、玖珠駐屯地の主役、戦車で制圧射撃。
74式戦車がまず射撃。
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続いて10式戦車が突入して、軽快な機動を見せつける。
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撮影場所が同軸機銃と逆側だったのがちと残念。
最後に普通科が突撃して、状況終了。
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今回の玖珠駐屯地のハプニングは96式装輪輸送車の擱座。どうも、車軸ごとイっていたみたい。原因は定かじゃないけど、やっぱしAFVは装軌だよね、と思った出来事でした。

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空自芦屋基地航空祭2016に行ってきた

一週間前になりますが、こちらも記録用の記事。
空自パイロットの教育隊が所属する、芦屋基地航空祭に行ってきました。天気が心配されましたが、前日からの雲は徐々に取れてくる幸運に恵まれ、人出も最高潮。
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最寄りの駅からのシャトルバス第一便には間に合わなかったので、いきなりの救難展示。空自のUH-60Jは給油プローブとIRサプレッサーを装備した最新型。いい動きしてました。
残念ながら新田原基地の天候が悪く、F-15Jのリモートフライトはキャンセル。その代わり、三沢のF-16CJがスピード感溢れるフライトを実施してくれました。
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祝賀行事をはさんだ後はおまたせ、ブルーインパルス。
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「フェニックス・ループ」など新科目が導入され、昨年と大きく内容が変わっていたと思います。逆行の上、モヤってしまいましたが、非常にキレイな航跡を残してくれました。
それにしても、近年の航空祭、人出が段違いに多くなってきましたね。ほんと、マナーだけは気をつけないと行事の実施に影響が出かねないので、みんなで考え直したいものです。

個人的メモ
往路;笹原06:23⇒遠賀川07:22
復路;遠賀川16:37⇒笹原17:34

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新田原基地301SQ壮行行事に行ってきた

もう2週間前になりますが、新田原基地で301SQの壮行行事、ファントムのラストフライトが行われるというので行ってきました。記録用にうpしときます。
2016年現在、空自は南西方面の脅威増大にあたり、大変換期のの中途にあり、長らくF-4EJファントムⅡを運用してきた301SQも百里へ移動。代わって、F-15J装備の305SQが異動してきます。31年間の歴史の終幕として、一般公開と記念飛行が一般公開されました。
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航空祭ほどではありませんでしたが、一般にも駐車場を開放しため周辺は大渋滞。基地側としても、これほどの人出は予想外だったのでは。それだけ、ファントムが愛されていたということだと感じます。
そして、フライト展示。
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とにかくキレキレのフライトでした。個人的にも、レインボー・ヴェイパーが撮れて大満足。本当に素敵なイベントでした。

個人的メモ
井尻周辺出発5;30⇒10:00新田原基地周辺(自家用車)

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陸自健軍駐屯地記念行事2016に行ってきた

陸自西部方面隊の根拠地、健軍駐屯地記念行事に行ってきました。
熊本地震から5か月、健軍駐屯地は大きな被害を受けた地域にも近く、隊員さんや家族も被害に合われた方が少なくないはず。そんな中での駐屯地開放、頭が下がります。
駐屯地に入場し、まずは装備品展示。
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注目を集める、水陸両用部隊の使用機材、AAV-7水陸両用兵員輸送車。追加装甲も外され、運用などついて習熟中というところでしょうか。国産の両用兵員輸送車の開発も始まるみたいですね。
お次は12式地対艦誘導弾。
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こちらも新装備ですね。島しょ部防衛用として俄然、重要な装備になりつつあります。
10式戦車と74式戦車はもう定番ですね。
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現地で上げたTwitter画像で、一番”お気に入り”していただいた、10式戦車回収車。タミヤさん、これモデル化すれば、売れると思うんですよ。
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さて、健軍駐屯地健軍駐屯地といえば、公道を使用した観閲行進。


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九州各地に配置されている各種車両が、検閲を受けるために集結。隣の子供さんも大喜び。
これにて、私は近くの高速バスの停留所から高速バスで福岡に戻りました。繰り返しになりますが、本年は地震から5か月という、特別な時期での開催。いろいろご苦労もあったと思います。そんな中でも雄姿を見せてくれた、隊員さんと、それを支えているご家族に感謝です。

個人的メモ
往路;西鉄高速バス「ひのくに」西鉄天神BS6:40→8:30自衛隊前 復路;自衛隊前12:10→13:40 


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書評<昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略>

現在、地球という惑星の支配者は人間だと我々は考えがちだが、実際には昆虫の惑星だ。種の数、バイオマスの量は他の生物を圧倒し、その生息域も極地にまで及ぶ。本書は昆虫目線で見た地球の生物史を紹介し、昆虫が長い時間をかけていかに進化してきたかを推測する。

現在の地質年代の区切りは、あくまで”人間目線”だ。あくまで脊椎動物の進化で、更新世や新生代といった用語は使用されている。本書はまず時代区分から離れるように読者に訴える。脊椎動物が陸に上がった時にはすでに昆虫がいたし、脊椎動物が空を舞うはるか前から、昆虫は地球の空を支配してきたのだ。
もちろん、昆虫にも絶滅と進化の歴史がある。人間にとって幸いなことに、巨大昆虫は現在まで生き残れなかったし、いわゆる寄生性の昆虫はいきなり今のような関係になったわけではない。地球の大陸移動と、それに伴う気象の変化は、昆虫にも試練をもたらした。そのうえで、化石年代の生き残りと、より進化した社会性昆虫や寄生性昆虫が、地球上を闊歩しているのである。本書は、いわば昆虫の進化の歴史書である。
本書の惜しいところは、非常に著者の推測が多いことだ。化石として残った昆虫は非常に少なく、そうなることは致し方ないところもあるのだが、もう少し、その推測への根拠が欲しいところだ。

初版2016/07  河出書房新社/ハードカバー

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書評<サッカーと愛国>

サッカーとナショナリズムはもともと「相性がいい」。ヨーロッパではユーゴスラビアの凄惨な分離独立紛争のキッカケの1つとなったし、FCバルセロナはカタルーニャ州分離独立の旗頭だ。
近年、Jリーグにもそういった事件が増えてきた。日本代表戦の韓国、中国での日章旗掲示や、やスタジアムでの「JapaneseOnly」の横断幕の掲示がその代表格だ。著者は事件の周囲を取材するだけではなく、事件の当事者たちに直接会い、実際には何が起こったかを明らかにしていく。さらに海外での人種差別問題への取り組みなども紹介する。

自分もかつてそうだったが、Jリーグのサポーターは「海外な過激なサポーターたち」、いわゆるフーリガンへの憧れが確実にある。「チームを愛するあまり無軌道に暴走する」、その迫力のある群衆を自分たちのスタジアムにも再現したい。そんな思いから他チームのサポーターと衝突したりする。今Jリーグや日本代表戦で見られる、いわゆる愛国的な行為は、その延長であり、言ってみればミーハーな状態に、現在のところはあると思う。
だが、それがエスカレートするとどうなるか?本書が問いかけるのはそこだろう。日本は地理的な条件と滞留資格条件の厳しさから移民は少なく、異民族への本格的なヘイト的な行為が社会に沸き起こるところまでは至っていない(なので少数派が逆に目立つ)。現状、高齢化で静かに沈みつつある日本だが、ときの政権がどこで舵を切るかは分からない。そのときのために、芽は摘んでおくべきなのだろう。自分たちの国への誇りと、他者への攻撃は別だと、肝に命じておかなければならない。
ただねえ、隣の大国はますます攻撃的になるだろうし、朝鮮半島も相変わらずなことは想像がつく。そのとき、あまりにリベラルぶって融和的な態度とるのも偽善的に感じる自分もいる。バランスが難しい。

初版2016/07 イースト・プレス/ソフトカバー

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書評<プレミアリーグ観戦レシピ>

スカパーのプレミアリーグ解説でお馴染みの著者のプレミアリーグ解説本。16-17シーズンの各チームの注目点、イングランドのサッカーの知ってためになるマメ知識など、テレビ観戦が楽しくなる解説本だ。

著者いわく「提言なんかない、観戦のツマミにしてもらえれば」とのことだが、戦術論にとらわれることなく、移籍市場にとらわれることなく、バランスの取れたプレミアリーグ解説本だ。プレミア各チームの抱える問題がどのように選手のラインナップやプレーに現れるか、非常に参考になるし、著者独自の情報網によるチーム情報も面白い。マンチェスター・ユナイテッドのサポーターであることを隠さない、著者のフィルターが全編を通してかかっているが、それもまた一興。この人、どんだけファンハールがキライなんだ(笑)。

初版2016/08 東邦出版/ハードカバー

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書評<カンプノウの灯火>

FCバルセロナの強さの源泉が、カンテラと呼ばれる下部組織にあることは有名だ。10代前半からトップチームと同じ戦術とプレースタイルを叩き込まれているからこそ成立する、美しいパスサッカー。メッシはその最高傑作ともいえるが、彼らのようにトップチームのレギュラーに定着するのはほんの一握り。残りの少年たちは、様々な理由でカンテラを退団し、サッカーと離れた人生を送っていく。本書はメッシとカンテラで時間を共にした、同世代の元選手たちの現在を追う。

ユースチームの選手たちのセカンドキャリアを追う記事は、ときどき専門誌でも出会う。ほとんどは身体の成長のスピードの違い、両親をはじめとした周囲の期待に対する選手たちの苦悩を追ったものだが、本書の広がりはもっと広い。カンテラの元選手たちを追うことで、スペインとバルセロナの現在を垣間見ることができるのだ。アフリカからの移民の問題、増加するイスラム教徒との摩擦、カタルーニャ州の独立問題。さらにメッシと同世代の元選手たちには、深刻な不況と失業問題が被さってくる。現代ヨーロッパの状況が、彼ら元ユースの選手たちの人生に深く反映しているのだ。。
ありがちなバルセロナ賞賛の本ではない。非常におススメの一冊だ。

初版2016/07 洋泉社/ソフトカバー

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