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2004.02.18

書評<世界の傑作機 F-117Aナイトホーク>

世界の傑作機スペシャルエディション
vol.2 F-117A ナイトホーク

ベトナム戦争以後、堅固目標に対する航空攻撃は大規模化の一途を辿った。敵戦闘機から攻撃機を護衛する制空戦闘機、対空防御網を制圧するSEAD任務機、同じく対空防御網にECMをかける電子戦機、それらの燃料タンクを満たす空中給油機、そして作戦をコーディネートするAWACS(空中管制指揮機)。攻撃機を目標に導くのにこれだけの準備をし、なおかつ優秀なオーケストラのごとく実行できても犠牲が出ないことは稀である。
ステルス攻撃機、F-117Aの登場は単に低観測性をを革新的に実現した航空機の登場というだけでなく、(アメリカの)航空作戦を変革した。レーダーその他の探知手段に捕らえられないことを前提に作戦を実行できるならば、先に上げた援護機は飛躍的に減らすことができる。湾岸戦争でその性能をいかんなく発揮して10年以上経つが、今だF-117Aの侵入に対する現実的な対抗手段は見つかっていない。
本書は豊富な写真と合わせて、航空作戦に革命をもたらしたF-117Aの誕生から実戦経験までを紹介した本である。スペシャル・エディションと銘打ってるせいか、カラーページは凝ったデザインだが、記事はいたって真面目で、レーダーが何たるものかから説明されていて、ステルスなるものが良く理解できる。
マニアックな雑誌にはRCS(レーダー反射面積)解析ソフトの宣伝が掲載される昨今、F-117Aの神通力がいつまで続くか。その終わりがまた新たな軍事技術革命となろう。

初版2003/12 文林堂/ムック

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