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RAH-66コマンチの開発中止される

rah6607.jpg
アメリカ陸軍の次期観測/攻撃ヘリコプターのRAH-66コマンチの開発中止をアメリカ陸軍が決定した。コマンチはすでに試験用実機も完成、試験を継続していた。
攻撃ヘリコプターは通常、索敵を行う観測ヘリ1機に4機が管制され、行動する。コマンチは現行のOH-58Dの後継として冷戦時代末期に開発が開始された。ヘリとしては初のステルス技術の適用機であり、またOH-58Dと比較して、本格的な”威力偵察”が行えるよう、武装も強化されていた。だが、そもそもがソ連との大規模な衝突を想定したヘリであり、LIC(低強度紛争)の時代にステルス技術などがオーバースペックになること、乗員2名のみであり汎用性に欠けることが指摘されていたのも事実。またAH-64Dロングボウ・アパッチの開発により、攻撃ヘリ自身が策敵能力を備えたことも開発中止の一因だろう。
それにしても、開発メーカーの中心であるボーイングはJSF(米空海軍共用次期戦闘機)選定にも敗北、空中給油機リース計画もスキャンダルにより計画中断、屋台骨の旅客機の販売実績もエアバスに抜かれるなど、いいニュースがまったくない。大丈夫かな?

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書評<アナハイム・ジャーナル>

<アナハイム・ジャーナル 機動戦士ガンダム公式設定資料集>
メディアミックス編集部 サンライズ
アナハイム・グループは一年戦争終了以降、元ジオン共和国の企業買収などを経て、U.C.100年を迎える現在、地球圏でも最大の企業集合体である。モビルスーツの開発・製造のイメージが強いが、実際には地球圏の政治権力を裏で操っているともいわれるほどの巨大企業である。アナハイム・ジャーナルはグループ企業のアナハイム・クレジット社が発行する企業PR誌であり、U.C.100年を記念する今号では総帥であるメラニー・ヒューカーバイン氏のインタビュー、アナハイム・エレクトロニクス社のモビルスーツ開発の経緯などが掲載されていて、PR誌としてはもったいないほどに内容が充実している。

近頃ではキムタクまでが”ガンプラ”などと口にする昨今だが、本当の「ガンダム」の世界はもっとディープ。アナハイム・エレクトロニクス社とはガンダム・シリーズの<架空の歴史>に登場する会社で、物語のキーワードの一つである。本書はその”架空の会社”が発行した”架空の企業PR誌”の形をとっている。上記の文章はいわば”架空の解説”。企業広告のはさみ方なんかは旅客機のシートバックにある”機内販売の案内”なんかに範をとっていると思われ、そのこだわりはハンパではなく、最終ページまで注釈は一切ない。いってみれば1から10までジョークで構成された本ともいえるが、それができる”ガンダムの世界”とはやはり深い。本書はまさにガノタ(ガンダムオタク)のための1冊。
うーん、一般人にはぜんぜん「お勧め本」にならないことに文章の最後まで来て気づいた俺はやっぱりオタクなのかな。

初版2004/01 エンターブレイン/大型本(ポスターつき)

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書評<世界の傑作機 F-117Aナイトホーク>

世界の傑作機スペシャルエディション
vol.2 F-117A ナイトホーク

ベトナム戦争以後、堅固目標に対する航空攻撃は大規模化の一途を辿った。敵戦闘機から攻撃機を護衛する制空戦闘機、対空防御網を制圧するSEAD任務機、同じく対空防御網にECMをかける電子戦機、それらの燃料タンクを満たす空中給油機、そして作戦をコーディネートするAWACS(空中管制指揮機)。攻撃機を目標に導くのにこれだけの準備をし、なおかつ優秀なオーケストラのごとく実行できても犠牲が出ないことは稀である。
ステルス攻撃機、F-117Aの登場は単に低観測性をを革新的に実現した航空機の登場というだけでなく、(アメリカの)航空作戦を変革した。レーダーその他の探知手段に捕らえられないことを前提に作戦を実行できるならば、先に上げた援護機は飛躍的に減らすことができる。湾岸戦争でその性能をいかんなく発揮して10年以上経つが、今だF-117Aの侵入に対する現実的な対抗手段は見つかっていない。
本書は豊富な写真と合わせて、航空作戦に革命をもたらしたF-117Aの誕生から実戦経験までを紹介した本である。スペシャル・エディションと銘打ってるせいか、カラーページは凝ったデザインだが、記事はいたって真面目で、レーダーが何たるものかから説明されていて、ステルスなるものが良く理解できる。
マニアックな雑誌にはRCS(レーダー反射面積)解析ソフトの宣伝が掲載される昨今、F-117Aの神通力がいつまで続くか。その終わりがまた新たな軍事技術革命となろう。

初版2003/12 文林堂/ムック

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書評<アヴァロン 灰色の貴婦人>

アヴァロン 灰色の貴婦人
押井 守
押井守監督の同名映画作品のアナザーストーリー。3月公開の新作<イノセンス>公開に合わせ、再び書店に並んでいる。
ゆるやかな管理社会と化した近未来。若者はアヴァロンと呼ばれるヴァーチャル・シュミレーションゲームに熱中していた。アヴァロンは少人数のパーティーを形成して仮想空間の戦場ににダイブし、小火器を中心とした戦闘を行う。特定のパーティーに属さない”傭兵”である主人公<俺>がアヴァロンを舞台として幾つかのチームと人物との絡みを通して、アヴァロンの大きな謎にせまっていく、というストーリー。
物語の舞台設定からしてガンマニアの都合のいいように設定されており、完全にそのスジの人向けの小説である。使用火器で呼び合う登場人物、小火器や戦術への執拗なまでのコダワリなど、押井守節が炸裂している。30-06U.S.ミリタリーカートと、7.62mmNATO弾の区別がつく人は読んでみてください。

初版2003/03 メディアファクトリー/文庫

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書評<戦争広告代理店>

戦争広告代理店
高木 徹
イデオロギーと偉大なる指導者の影が薄くなると同時に、民族問題が噴きだした旧ユーゴスラビア連邦。連邦からの独立を宣言する各共和国と、独立を阻止せんとする連邦=主としてセルビア共和国の間で、深刻な紛争が繰り返された。中でもボスニア・ヘルツェゴビナの独立の際には、クロアチア勢力、セルビア勢力、そしてボスニア勢力が三つ巴の凄惨な紛争となった。
独立する側にも、それを阻止する側にもそれなりの正義があり、本来、国際社会は両者を平等に扱い、調停すべきであった。それが何故かいつも悪役はセルビア共和国であり、後のコソボ自治州の独立紛争の際にはセルビアがNATOによる懲罰爆撃の対象になった。そうした国際世論はどうやって形成されたか?それを明かすのが本書である。
戦争にはプロパガンダが不可欠である。だがメディア全盛のこの時代、よほど巧妙に立ち回らないと庶民は嘘を見抜く。そこで、ボスニア勢力は自分たちに有利な国際世論の形成のためにアメリカの広告代理店を雇った。その広告代理店は、国際社会をマーケットに見立てて「作戦」を展開させていく。ボスニアの外務大臣を”悲劇のカリスマ”に仕立て、世論に訴えるキャッチコピーを流布する。自分たちの邪魔をする輩は抹殺していく。本当に商品を売り込むがごとく、「ボスニアの悲劇」を売り込んでいく。本書はセルビアが完全に悪役に仕立て上げられるまでを当事者たちのインタビューを中心にして組み立てられており、現代のプロパガンダの一端を見ることができる。
ボスニア・ヘルツィゴビナ紛争から10年経ったからこそ、その裏に何があったか垣間見ることができる良書である。

初版2002/06 講談社/ハードカバー

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書評<世界の傑作機 F-104スターファイター>

世界の傑作機vol.103 F-104スターファイター
航空ファン別冊
F-104は1950年代に開発されたいわゆる”センチュリー・シリーズ”と呼ばれる戦闘機の中でも異色の存在である。ターボジェットの急速な発達が音速の2倍を超える速度をもたらしたものの、航空機として形態は試行錯誤の時代。コンパクト化が充分に進んでいない核兵器の搭載を要求され、またFCSに代表されるコンピューターの類も現在からすれば”巨大”のレベルにあり、機体が大型化する傾向の中で、F-104は鉛筆のような細い胴体に極めて薄い主翼を持つ軽量小型戦闘機であった。小型であるがためにアメリカ空軍の要求にはそぐわず、本家では短期使用で終わったものの、NATO各国空軍や航空自衛隊では優秀な攻撃機、または戦闘機として長く現役にあった。アメリカで冷遇された戦闘機が同盟国で多く採用されたのはたぶんに政治的理由もあっただろうが、F-104が長く現役に就いていたのは優秀な戦闘機であった証拠となろう。
本書ではあえて航空自衛隊のF-104J/DJについては記載せず、世界各国で活躍したF-104の生涯を忠実に記録している。多くの写真や図面はモデル製作の参考になるし、航空自衛隊のF-104Jとはまったく違う核攻撃機という任務を負ったドイツのF-104の過酷な試練に関する記述は興味深い。
「最後の有人戦闘機」などといわれたF-104だが、もちろんそうはならず、21世紀にいたるも戦闘機に生産は続いている。後のF-4ファントムなどとは違い、純粋に航空機として美しい機体であった、そう断言できる傑作機であることを感じさせてくれる1冊である。

初版2004/01  文林堂/ムック

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