書評<犬の気持ちは、わからない>
犬の気持ちは、わからない
押井 守
アニメ界のカリスマの一人、押井守カントクは犬好きでも有名である。彼の作品にはたいてい犬が登場するし、彼がインタビューに答えているとき、必ず犬の姿が入った服を着ている。もはや常人の域ではない。
本書はカントクが自分の飼い犬、バセットハウンドの”ガブ”と雑種の”ダニィ”との生活(プラス奥さんと猫1匹)を綴ったエッセイである。それもペット雑誌に連載されたものをまとめたものなので、本業とまったく関わりなく、犬への偏愛をひたすら綴っている。
自分は犬を飼ったことがないので、犬の生態、犬と生活するとはどういうことかが分からなかったので、新鮮な気持ちで読み進めた。例えば、犬にも生理があるなんて思いもしなかった(考えてみれば当たり前)。バセットは手がかかる犬種だそうで、それにもう1匹加われば、もはやそれ中心に生活が廻っていくこと(偏愛がなせる業かもしれない)がよく分かる。また犬好きの思考回路と理屈好きのカントクの思考回路が合わさって、独特の「犬の気持ち」なる妄想がたびたび登場し、それに人間の気持ちの押し付けだけでも、科学的な分析だけでもない不思議な感覚を感じることができておもしろい。
<イノセンス>公開に合わせ、いろんな”押井守本”が出ている中で、個人的には一番新鮮な感覚を持って読めた1冊だった。
初版/2000/12 エンターブレイン/単行本
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