書評<21世紀の特殊部隊>
21世紀の特殊部隊上・下
江畑 謙介
21世紀はLIC(LowIntensityConfrict;低強度紛争)や不正規戦の時代となりつつあり、特殊部隊の役割は従来に増して重要になりつつある。本書は上巻を<特殊作戦篇>、下巻を<特殊装備篇>と分け、アメリカの特殊部隊を中心に、詳細に解説されている。
上巻ではまず、昨今のアフガンやイラクでの特殊部隊の活動を紹介。一般ニュースでも取り上げられた捕虜救出作戦などメジャーなところから、空軍のCAS(近接航空支援)作戦との連携、問題視されたC-SAR(撃墜されたパイロットの捜索・救難作戦)任務など、特殊部隊の様々な任務に解説は及ぶ。また、現在の特殊部隊の形を作ってきた歴史的な人質救出作戦(の失敗)を紹介するなど、特殊作戦がいかなるものかが理解できる。
下巻はコンバット・ナイフや弾薬から、特殊部隊を運搬する航空機まで、特殊部隊に関わる装備全般を詳細に紹介。往々にして先進装備が特殊部隊に先行配備され、後に一般部隊まで波及するので、今後の軍隊の装備も占える分野も多い。
著者が江畑謙介氏だけあって、解説も見解も一部の隙もなく的確である。特殊部隊に対するロマンチックな思い入れや憧れはともかくとして、その運用と装備の実際を知るには最適の書である。
初版/2004/07 並木書房/単行本
« 空自基地テロ対策 防衛専門部隊新設へ | Main | 書評<ハバナの男たち> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
Comments