書評<押井守・映像機械論[メカフィリア]>
押井守・映像機械論[メカフィリア]
押井守[著] 竹内敦志[画]
押井守自信が監督を務めた映画の中に登場する戦車、銃火器あるいはヘリといったガジェットを、自らが語り、解説した、モデルグラフィックス誌の連載をまとめたもの。連載中に掲載された竹内敦志のイラストは全てカラーになり、値段に見合う?ムックに仕上がっている。
押井カントクが自らの映画の美術や小道具に異常にこだわるのはファンなら周知の事実。ましてミリオタを自負するカントクの銃器やAFV(戦闘車輌)の類へのこだわりは尋常ではなく、カントクの頭の中で、登場するメカたちの存在意義、ディテール、演出方法などがいかに構築されているのか、その理論が披露されている。その理論の前提として、参考にした実在の兵器の解説も延々と記載されているなど、そのマニアックぶりがひしひしと伝わる。
この連載で誰もが「これでいいの?」と感じた、ぶっちゃんことメカデザイナー・出渕裕が何度となくコケにされている件については、そのアンサーとして出渕氏のインタビューが掲載されている。すでに「歴史的和解」がなされたとはいえ、幾人ものクセのあるクリエイターたちが共同作業するアニメをまとめ上げることがいかに大変か、よーく分かる貴重なインタビューである。
初版2004/09 大日本絵画/ムック
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» メカフィリア 押井守映像機械論 [個人的読書]
著者: 押井 守, 竹内 敦志タイトル: 押井守・映像機械論[メカフィリア]「メカフィリア 押井守映像機械論」押井守/著、竹内敦志/画、大日本絵画社/出版 モデルグラフィックスという模型雑誌に連載されていたものを、 纏めて、新たに一章書き下ろしで書き足したものです。前書きは、軍事評論家の岡部いさく(フジ系列のニュースの解説で度々登場)さんが、書いてます。 押井監督が、自身の創作(映画に限らず)に登場させたメカ、マシー�... [Read More]
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