書評<福野礼一郎の宇宙 甲・乙>
福野礼一郎の宇宙 甲・乙
福野 礼一郎
自動車評論家、福野礼一郎氏の自動車関係以外の評論を集めたもの。自動車以外にも広範囲に知識を有する氏の本骨頂がまとめて読める。
氏の評論があまたの自動車評論家と異なるのは、機械装置たる自動車その他の評論に際し、「なぜ」を徹底的に追及することにある。この世界を支配する物理の絶対性を基本におき、工業製品としての機械装置の評価を重ねるその方法はなるほど、説得力がある。おそらく重度のメカフェチであることは想像に難くない。2輪・4輪の暴走族、素人ブローカーや走り屋を経て自動車評論家に至った氏の経歴がそれを支えている。
個人的には、タミヤのプラモへの憧憬を隠さない氏のミリタリーとの深い関わりも見逃せない。<航空ファン>にコラムの一つも連載してほしいくらいである。
しかし、ゲームの話があるかと思えば時計の話があり、インテリアの話がある。それがバラバラに掲載されているので、ジャンル別にまとめるなど編集に工夫が欲しかった。
初版2004/12 双葉社/単行本
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