書評<仁義なき英国タブロイド伝説>
<仁義なき英国タブロイド伝説>
山本 浩
2002年のワールドカップでフーリガンがクローズアップされて以降、イギリスが”紳士の国”だと思う人も少ないだろうが、英国の真実を表しているのはいわゆるタブロイド紙だろう。日本では”イギリスの大衆紙”としてワイドショーの元ネタの一つにされているが、その突撃精神は日本のあらゆるマスコミのかなうところではない。王室だろうがベッカムだろうが権威に一切媚びることなくスキャンダルを追っかける。さらにどのタブロイド紙も政治的立場を明確にし、ライバル紙をこきおろす。日本の某紙のごとく”中立公正”などと建前を振りかざす割には、論調がどうにも偏っているようなことはない。本書ではダイアナ妃など代表的なエピソードから、タブロイドとはどのような歴史を辿って現在の状態に至るのかが紹介されている。このような刺激的な新聞なら、「ニュースはネットで充分」なんてことにならずに済むだろう。1面が大抵横並びの日本の新聞との大きな違いである。
初版2004/12 新潮新書/新書
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