書評<オタクの遺伝子>
オタクの遺伝子
稲葉 振一郎
大きく”オタク”と括っているが、実質的にSFマンガ家、長谷川裕一とその作品の研究書である。
本書は著書による長谷川裕一氏本人のロング・インタビューと、作品解説・批評からなる。ロングインタビューでは長谷川祐一氏本人がSFファンでもあることから、長谷川氏の読書歴や作品を通して、日本におけるSFの歴史を辿ることに成功している。また長谷川氏と富野カントクの共同作品である「クロスボーン・ガンダム」を描く際の監督とのやり取りなどは非常に興味深い。また、作品批評では長谷川氏の作品を通して、日本におけるSFとは何かを、宮崎駿監督の作品との比較などを通して検討している。
自分は「マップス」と「クロスボーン・ガンダム」しか目を通したことがないので、本書購入後にBOOKOFFなどに関連書籍を漁りに行ってみたが、意外と少ない。ということは、思い入れのある人が保管している場合が多いんだろうな。世間一般からすればマイナーなマンガ家の研究本が成立することに驚いたのだが、ちょっと納得した。
« 厚木のCVW-5が岩国基地に移転か? | Main | モブログ・テスト »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
TrackBack
Listed below are links to weblogs that reference 書評<オタクの遺伝子>:
» SF論『オタクの遺伝子』(太田出版) [松重昏迷閘門]
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3223195
にトラックバック
先週は正文館書店知立八田店でいろいろ... [Read More]
Comments