書評<終戦のローレライ>
終戦のローレライ1~4
福井 晴敏
太平洋戦争終結間際。崩壊したナチスドイツからもたらされた伊507なる潜水艦とともに”ローレライ”なる特殊兵器がもたらされた。それを巡って動き出す陰謀。映画も公開中なので、あらすじは控えめに。
<亡国のイージス>を読んだときに著者が”トミノの子”であると書いたが、本作品を読んでますますその感を強くした。陰謀の首謀者が某アニメの某仮面の男と似ているとか、特殊兵器を巡る苦悩と某アニメの強化人間を巡る苦悩の類似性だとか、そんな野暮なことを言っているのではない。いいたいのは爽快なアクションとメッセージ性の同居である。救助に来てくれるはずのない母艦が現れる瞬間、あるいは悪魔的な戦術が決まる、ここぞというときの剣の殺陣にも似た”キメ”のシーンは、戦争を巡る重いメッセージの中に、読者に爽快感をもたらす。エンターテーメントでありながら、なおかつ”戦う意味”を問うことも忘れない。同じく”トミノの子”であり、ファーストガンダム世代である我々の世代が、どんどん引き込まれるわけである。いい読後感を残す作品です。
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