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2005.06.28

書評<終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ>

終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ
木村元彦
旧ユーゴスラビアからの独立を巡る動きと凄惨な民族対立により、激しい内戦となったコソボ自治州。NATOによる首都ベオグラードをはじめとする空爆、その後の平和維持部隊の展開により、一応、武力衝突は収まっているように見える。だが、平和維持軍たるKFORがコソボに駐留しているにも関わらず、コソボに残ったセルビア人に対する拉致・殺人が続いている。そうした現状を、現地取材・インタビューを通して本書は描き出している。
個人的には、読後に非常に違和感が残った。本書は、コソボ紛争後に頻発するセルビア人に対する拉致、すなわちコソボのアルバニア人たちの「復讐」を軸にしている。コソボ紛争時のセルビア人による虐殺を”そういう事実が確かにある”という表現にとどめ、アルバニア人たちの”復讐”については詳述するのは、公平感を欠く。まるでNATO空爆を「意味がなかった」のごとく書いているが、ではNATO空爆は民族対立を煽っただけなのか?武力衝突がそのうちに調停だけで解決したのか?
「民族融和」を語るのはしごく簡単である。だが、それはバラバラになっていくかつての連邦に対する、部外者の懐古ではないのか?民族の対立を”なるべく公平な視点”で書くのは困難であるという思いを強くした。

初版2005/06 集英社新書

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Comments

同じ本を読んでも、人それぞれ反応が違うものだと思いました。
私は、宮嶋茂樹の「空爆されたらサヨウナラ」を読んでいたので、コソボとコソボを支援するアメリカこそが、旧ユーゴの不安定化、解体を行っているというふうに感じ取っています。
アメリカの広告代理店が、セルビアに対する悪い風評を意図的に流したということも本になっているようです。「戦争広告代理店」

>とくまるさん
「戦争広告代理店」も読みました。コソボの指導者たちの国際社会での立ち振る舞い方のうまさが、アメリカはじめNATO諸国を味方につけた、ということになるんですかね。

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