A.J.クィネル氏、死去
イギリスの冒険作家、A.J.クィネル氏が亡くなった。
クィネル氏は、新作のチェックは必ずする作家の一人でした。
クィネル氏は「燃える男」に代表されるように”情念の作家”でした。傭兵の物語、あるいはエスピオナージでありながら、人間の感情の激しさを描き出す。
個人的にはクィネル氏の書く”男の再起”にシビレました。「燃える男」では戦場を渡り歩き、疲れ果てた傭兵が純真な少女と友情溢れる仲間たちの援助により、生きる力を取り戻していく。「スナップ・ショット」では、世捨て人になった元スパイが、隠遁生活を送る村の人たちとの交流によって、人間らしさを取り戻していく。主人公の描写は抑え目にし、周囲に魅力的な脇役を配することによって物語を際立たせる。何度も読み返したものです。
しかし、亡くなったのが作品で何度も舞台となったマルタとは、カッコよすぎです。
合掌。
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