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2005.09.19

書評<われら以外の人類>

われら以外の人類
内村 直之
人はどこから来て、どこへ行くのか。哲学的にも、進化論的にも永遠の課題である。本書は歴史を700万年前まで遡り、ホモ・サピエンスへの道筋の最新の研究結果を紹介している。
われら以外の人類、というのはホモ・サピエンスまでにあまた現れた人類の”仲間”たちのことである。現在では”ヒト”、いわゆるホモ・サピエンスは我々だけであるが、かつては体形、脳の大きさ、顎の特徴などから、多くの亜種たちがいたことが化石発掘から分かっている。多くの化石の中で、どの種が直接ホモ・サピエンスへつながる道であり、どの種がそこで”行き止まり”の種であったか。本書ではアフリカでの発掘の様子や、世界的な論争を紹介し、人類の道がいかなるものであったかの”道”の何種類かを紹介している。
進化論といっても様々な学説があるわけだが、個人的にはある時期に一気に突然変異が現れる「断続平衝説」を採用したい。突然変異で現れた亜種たちが自然選択・適応放散し、種として枝分かれする中で、本書にあるような多くの”仲間たち”が存在するのがその証左である。その中でホモ・サピエンスだけが我が世の春を謳歌している謎が解けるときが、ダーウィンの唱えた進化論が完成するときであろう。
本書は文量は少ないが”人類の行く道”の記述もある。文明を持った人類の新種が現れるとするならば、どのような”ヒト”になるのか。過去も未来も、まだまだ議論の途中である。

初版2005/08 朝日新聞社/新書

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Comments

著者です(笑)。
読んで頂いてどうもありがとうございました。
意図するところをズバリ言い当ててくださった
書評に感謝致します。
なにか、疑問に思ったことなどございましたら、いつでもどうぞ。

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