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2005.09.30

書評<戦うコンピュータ>

戦うコンピュータ
井上 孝司
就職して10年ちょっと。中小企業の、本社工場から遠く離れた事業所のスチャラカ営業マンだったオレは、ITが仕事と生活に入り込む様を体験してきた。
配属された当初の事務所には物流関係の端末と、ワープロがあるだけだった。身につけていたのはまだポケベルの時代。すぐにパソコンが導入され、ネットにも繋いだが、数人に一人でメルアドから共有していた。プライベートでケータイを買ったら、もはやポケベルには戻れず、会社からケータイが支給されるまで、仕事の電話料金を自分で払っていた時期もあった。やがて一人に一台、パソコンが支給され、LANを組んで情報をやり取りするようになる。事務所の回線がADSLになったのは、自宅マンションにADSLを導入するより遅かったのではないか。そして今年、社内のLANと全く別に、専用アプリと回線で動いていた物流システムも役目を終え、windowsとインテグレーテッドされた新しい物流管理アプリが稼動している。
今、先進国の軍隊で進行しつつあるIT革命とRMAは、概ね、こういう一般的な企業の流れと一緒であると本書は感じさせてくれる。本書の前半部分で説明されるコンピューター導入による個々の兵器の発展は(コンピュータそのものが軍のために開発されたわけだが)、これまでも多くの専門書で語られてきた。本書のキモは後半部分のネットワーク革命にある。民生技術が多く導入されているこの革命で、兵站部分も含めた軍全体に、何がもたらされているのか。専門用語にやや難解なところもあるが、よくまとめられていると思う。
RMAの問題点も、企業と一緒だ。情報を共有できるがゆえに、末端まで口を出してくる上級司令部と、効率化されてるはずなのに負担が増えていく末端の兵士。RMA万能論への反論は、片山さつき女史にも、ぜひとも読んでほしいものである。

初版2005/09 毎日コミュニケーションズ/単行本

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