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2005.12.26

書評<ブレードランナーの未来世紀>

ブレードランナーの未来世紀
<映画の見方>が分かる本
80年代アメリカ映画カルト・ムービー編   町村智浩

個人的に、80年代でもっとも影響を受けたハリウッド映画は「リーサル・ウェポン」と「ブレード・ランナー」だ。前者は王道のアクション映画で、長く続編も作られた。後者は後のアニメをはじめ大きな影響を残す。同じ80年代に作られた映画で、なぜ「ブレード・ランナー」がカルト・ムービーと呼ばれるのか。本書はそれを監督のパーソナリティと、「素晴らしき哉、人生!」という古い映画の影響を軸に読み解いていく。同じ文脈で「ビデオドローム」「イレイザーヘッド」「プラトーン」「ロボコップ」といった映画が解説されている。
本書ではまず、それぞれの作品の監督のパーソナリティがどのように形成されたのか、インタビューなどを通して解き明かし、それがどのように作品に投影されているのか解説される。端的に言って、映画の登場人物に必ず監督自身が投影される。「プラトーン」などは監督の過去の一部そのものと言ってよい。さらに作品の中の建物、風景そしてワンカットワンカットにこめられているのはどんなメッセージかを読み解いていく。
ときに難解な映像をそのまま難解な表現で解説するのではなく、平易な文章のテキストになっているので、映像にこめられた意味を良く理解できる良書である。最近のハリウッド映画がどれも同じように見えるのは、自分の感性が大きく衰えているわけではなく、ガキのころ、つまり80年代に見ていた映画が刺激的だったのだと、ちょっと安心した。

初版2005/12 洋泉社/単行本

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