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2005.12.28

書評<オシムの言葉>

オシムの言葉
木村 元彦
J1所属のチームの中でも、ツウをうならせるサッカーをやり続けているチームがジェフ千葉のオシム監督である。予算も観客動員数も決して人気チームには程遠いし、いい選手を育て、いいサッカーをしている結果、主力を新シーズンには引き抜かれるという悪循環にも関わらず、オシム監督就任以来、結果を残している。
チームのサッカー以上に、オシム監督はウェット溢れるジョークと人生訓に満ちた言葉により注目を集めた。本書はオシム監督が残した言葉を散りばめながら、監督の輝かしく、また悲劇に満ちた経歴を追い、その言葉が何ゆえ発せられるのか、どんな深い意味がこめられているのかを辿る。
オシムの目指すサッカーは組織偏重ではなく、またスター選手に頼るわけでもない。「走ること」がキーワードになるのは確かだが、決してやみくもにプレスをかける守備偏重のものでもない。自分の信念を貫きながら、また選手の個性を失わせるシステム偏重のサッカーではない。このバランスの絶妙さがオシムを優秀な監督たらしめているのであろう。
オシムもまた、ユーゴスラビア解体の悲劇の当事者の1人であり、その言葉はときに重い。だが弱音ではなく、常に真実の混じった皮肉で応じる。その経験の豊かさゆえ、オシムの言葉は我々の言葉に響く。
日本のサッカーはまだ幼い。それゆえ、「ドーハ世代」が監督業へいった風潮は性急だと思う。オシムだけではなく、もっと経験に溢れた監督たちの声をききたい。そう感じさせてくれる1冊である。

初版2005/12 集英社インターナショナル/ハードカバー

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