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2005.12.13

書評<戦闘機屋人生>

戦闘機屋人生
前間 孝則
戦前は旧日本海軍の航空技術士官、戦後は防衛庁では開発関係の仕事に従事した、高山捷一氏へのインタビューから、日本の戦闘機開発の歴史を追い、そして今後の航空機開発はどうあるべきをまとめたものが本書である。
高山氏は戦前・戦中は零式艦上戦闘機はじめ、多くの機の審査に関わり、戦後はT-1やC-1といった国産機の開発プロジェクト、F-104が採用されたときのFX選定作業の中心人物であった。まさに日本の戦闘機開発の歴史の生き字引である。それだけに一家言があり、それはうなづけるところも大いにあるが、素直には賛成できないところもある。
例えば、国家安全保障の主要兵器たる戦闘機は国内開発するべきだという本書の主題。導入価格だけで兵器を輸入に頼ると、後々の部品供給などの問題で、供給国に防衛の手足を縛られたも同然である、というのは納得。だが、もはやアメリカでさえ無制限にその時点での最高を求める兵器開発は予算の壁にぶつかっている現在、戦闘機の自主開発が、この借金国に相応しいのかどうか。
例えば防衛庁と日本の兵器製造メーカーの関係。業界全体を守るために発注を分散させている現状は、コスト高を招くし、技術資産も分散する。あのアメリカでさえ、冷戦終了と国防予算削減を受けて、今や兵器メーカーは極端にいってノースロップ・グラマン、ロッキード・マーチン、ボーイングに集約されているのに、日本は航空機メーカーが”乱立”しているといってよい。業界再編をすべきであるというのは、まったく同意である。
例えばF-2の原型はその発展性からいって、F-16Aではなく、F-18Aを選択すべきであったという意見。確かにアメリカ海軍はF-18E/Fという発展型を、CVW(空母航空団)の中心にすえようとしているが、それはソ連の消滅というCSG(空母打撃群)への脅威減少により、長距離防空能力を持つ戦闘機の必要性がなくなったこと、またステルス攻撃機となるはずであったA-12の挫折による、妥協の産物である。逆にF-16はCFT(コンフォマール・タンク)の開発やFCSの改良などにより、安価なままで、世界の空軍の中心となるべく生産続行中である。F-2はむしろ、ASM(空対艦ミサイル)を4発搭載するという、その要求自体の妥当性を問われるべきではないかと個人的には思う。
このように、防衛産業に関心があるものならば、反論したくなるようなところもいろいろある。だが、長く日本の航空業界に身を置いた方の貴重な意見であり、本書は今後の航空機開発の方向を考えるきっかけの1つとなるだろう。

初版2005/11  講談社/ハードカバー

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