書評<人類の月着陸はあったんだ論>
人類の月面着陸はあったんだ論
山本 弘ほか
2~3年前から「月面着陸は実際には行われておらず、NASAあるいはアメリカ政府の謀略である」という説がテレビや書籍に目立つようになった。本書はこのトンデモ説に対する、と学会からの反論である。
本書はまず、ムーンホークスと呼ばれるこの説の論拠を紹介、1つ1つを科学的に否定していく。さらにこの説が広まりきっかけとなったTVバラエティ、そして2005年度の日本トンデモ本大賞に輝いた副島隆彦の「人類の月面着陸は無かったろう論」を徹底的にこき下ろしている。これは、これまでの”と学会”と同じ方法である。そして、なぜこうしたムーンホーク説がアメリカで生まれたかを検証していく。
個人的に面白かったのは、大槻教授などちょっとアレな科学書はムーンホークス説を肯定、UFOを信じるビリーバーたちは否定していること。どうも”陰謀論”ならなんでもいい、というわけではないらしい(笑)。
宇宙開発を愛してやまない”SFの子”たちはムーンホーク説など、フン!とハナで笑う。だが、案外とその反論をキチンとまとめている本はないので、便利な本である。常識が常識でなくなりつつなる今、トンデモ本が出るたびにこうした科学の論拠を分かりやすく、皮肉をきかせて解説した本が必要であると思う。
初版2005/11 楽工社/ソフトカバー
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