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書評<やっぱり勝てない?太平洋戦争>

やっぱり勝てない?太平洋戦争
「やっぱり勝てない?太平洋戦争」製作委員会
戦史においては、いくつかの”分岐点”がある。太平洋戦争もしかり。ミッドウェーやレイテといった有名な海戦において、その分岐点で違う方向に進んでいたら歴史は変わっていたのか?一部のミリオタに過剰な思い入れがあると思われる零式艦上戦闘機あるいは戦艦大和は、本当に”最強”だったのか?本書はその疑問への、シュミレーションゲーマーたちからの回答である。
まずはじめに、ミッドウェーやレイテといった有名な海戦を詳細に分析し、データを積み重ねることによって歴史は決して覆らないことを証明してみせる。さらに日本海軍の戦略そのものが、間違った前提で組み立てられていたこともまた、データで証明される。個々の兵器もまた、冷徹な現実の前では”伝説”などない。
個人的には、過剰な思い入れも知識もない。よってミッドウェーの”もし兵装転換をしていなかったら”とか”偵察機が予定通り発進していたら”という"if"も、戦史の”分岐点”としてはさほど大きくないのではないかと感じた。後知恵の上に当たり前の結論だが、帝国海軍の戦争計画そのもの、あるいは人命に対する考え方という姿勢から、間違っていたと言わざるをえない。ではなぜ間違ったのか?様々な要因の一因として、想像以上に”テクノロジーの時代”になることを海軍が予測できなかったことがあるのではないか?W.W.Ⅱではわずかの間に凄まじいテクノロジーの進化をみたが、開戦前にその下地はあったはずである。一部の人はそれに気づいていたのにも関わらず、全体としては過去の戦訓にすがってしまった。さらにテクノロジーは扱う者に”慣熟”を必要とする。ベテランたちを使い捨てる海軍のやり方では、兵器を使いこなすことができる者を急速に減らす。”人命尊重”などという大義名分ではなく、兵器のオペレーターを失う冷徹な現実があるのだ。
本書のテーマは”架空戦記への反論”であるが、個人的には今まで自分が抱いていたイメージ以上に、太平洋戦争が”テクノロジーの戦い”であったことを強く感じさせた。

初版2005/05 並木書房/単行本

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Comments

こんばんはー

これは良い本でしたねえ
活字が苦手な人は
某国営放送の「ドキュメント太平洋戦争」
を見てみると良いかもしれませんねえ
おそらく
まったく同じ結論に達すると思いますよお

それを踏まえたうえで架空戦記を読んでみると
よりいっそう楽しめると思うのですが
「レッドサン、ブラッククロス」は結構面白いっすよおおお(・ω・)

Posted by: しょぼんぬ | 2006.02.17 at 19:43

>しょぼんぬさん
こんばんはー。
「レッドサン・ブラッククロス」はもはやパラレルワールドというか、別の世界の戦記ですよね。キライじゃないっす。でもトンデモないものも多々あるので、気をつけなきゃいけないです(笑)。

Posted by: ウイングバック | 2006.02.17 at 20:51

こんばんはー
火葬戦記スキーの革命家くずれが来ましたよ。
やっぱり兵器の運用や戦術以上に国力ひいては技術力の差が大きすぎて、どう逆立ちしても勝てない悪寒です。ドキュメント太平洋戦争懐かしいなあ。

自分は「クリムゾンバーニング」が大好きですよおお。(・ω・)

Posted by: あんぐら | 2006.02.17 at 21:46

>あんぐらさん
こんばんはー。
某アニメの「戦場から遠く離れると、楽観しか存在しない」というセリフは、当時の政府や軍の幹部の人のための言葉ですねえ。
「クリムゾン・バーニング」、ちょっと探してみますよ。

Posted by: ウイングバック | 2006.02.18 at 18:44

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