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2006.03.16

書評<陰謀の世界史>

陰謀の世界史
海野 弘
世界の経済や情勢の変化は、国家動向や企業活動などにより偶然積み重なったものではなく、何者かが操っている、という見方を「陰謀史観(コンスピラシー・セオリー)」という。操っているとされる組織はフリーメーソン、ユダヤ、ロスチャイルドにロックフェラー。さらにイギリス王室やCIAと数多い。本書はそれを海外の文献を中心に紹介していく。
といっても本書はトンデモ本のたぐいとは一線を引き、著者の立場はそれらを懐疑的に、一歩下がってみている感じだ。だが、それでいて陰謀史観に一定の評価も与える。陰謀史観の基本は「すべては繋がっている」こと。その視点で物事を見ると、確かに意外な繋がりもある。
本書で紹介される陰謀は、ほとんどアメリカ中心である。強大な力を持ちながら進み続ける連邦政府と、個人の自由が尊重される(はずの)社会のギャップが、”何かに操られている感じ”を生み出すのだろうか。今現在の陰謀史観の中心は、個人の自由と尊厳を奪い、少数のエリートが世界を操る”共産主義的なもの”へ世界が向かっている、というものである。ここにも”共産主義的なもの”と戦わなければならないという、アメリカの価値観が強くにじんでいるように見える。
誇大妄想症(パラノイア)といわれようとも、陰謀史観は膨大な知識の上に成り立ち、現実に対する別の見方を与えてくれる。コンスピラシー・セオリーはやっぱりオモシロイ、そう感じさせてくれる本である。

初版2006/02 文芸春秋/文庫本

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