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カルト資本主義
斎藤 貴男
サラリーマンを10年もやってると、経営陣に対して”フシギなこと”がいくつも出てくる。新入社員研修で受けた、”手をかざして朝日を見る”といった意味がよく分からない研修。自分じゃ何もしないのに、会議で大きな顔をしている”経営コンサルタント”の存在。”推薦図書”として回覧されるトンデモ本・・・・。
本書はこうしたフシギさの答えの一部を提供してくれる。カリスマを超え、教祖として崇められる存在になっている京セラの稲盛会長。電子技術産業の雄の1つ、ソニーでの超能力研究。トンデモ本の愛読者は鼻で笑う”永久機関”に一流商社が関わる。労務管理の話が、全体主義と民族主義に繋がる船井幸雄。大企業でさえオカルトと無関係にはいられないのに、中小ならいわずもがな、である。経営者の不安の代償行為がカリスマにすがることであったり、人間の帰属意識を利用した労務管理の行き着く先が全体主義だったりするわけだが、それはもはや”カルト”そのものであることを、経営者も被雇用者も自覚すべきではないか。本書はこう警鐘を鳴らす。
さらに本書では資本主義下のカルトとして、”ほぼネズミ講”のアムウェイ、”ほぼ奴隷農業”のヤマギシが紹介される。滅びることのないネズミ講はともかくとして、ヤマギシに企業から視察があるとはオソロシイ世の中だ。どちらも自分からすればカルトだが、日常でのその距離は近い。
本書は原著が1997年と古い。だが、後輩がアムウェイに変わるネズミ講、ニュースキンにハマって会社を辞めたのは最近のことだ。現状はそう変わっていない。緻密な取材による本書のレポートは色褪せていないと思う。
初版2000/06 文藝春秋/文春文庫
羽田―新千歳に28日、スカイマークエアラインズが就航した。しかし、第1便は空席が6割を占めた。
テレビの地方ニュースでは記者がこの第1便に乗って、搭乗していた社長にインタビューしていたが、この搭乗率についての社長の感想という、肝心なことを訊いてくれない(笑)。
オレが思うに、羽田―新千歳は基幹路線だけに、リピート客が多い。そうなると、やっぱり気になるのはマイレージだわな。一般ピープルも旅慣れた人が多いのでマイレージを気にする人が多いだろうし、会社経費で移動するサラリーマンは自分が得することじゃないので、マイレージとスッチーのサービス減らしてまでスカイマークにしないと思う(オレもそうだし)。ポイント貯める日本庶民の根性を、ITで儲けた金持ち社長はナメていたんじゃなかろーか。それに空港事情に詳しい人も多いと思う。JALやANAなら777中心の大型機運行だからボーディングブリッジ直付けだけど、767のAIR DOは第2空港ビルできた今でも”リムジンバスご案内”でメンドーだと思うことあるもんな。
だいいち、\10000って、安すぎて逆に不安なのは貧乏人根性が染み付いてるからだろーか。さすがに連休中は満席便も多いみたいだけど、連休明けからは予約もガラガラ。果たしてどーなることか。
すぐわかる国防学
林 信吾/清谷 信一
物騒な表紙と”国防学”というタイトルで何やら固そうな本だが、内容は最近の安全保障に関するトピックと、著者の常日頃からの主張をまとめたものと言ってよい。
軍事のトピックとしては、アーマーライトとカラニシコフを比較して兵器開発思想の違いや、日本の技術がいかに現代の戦争に使われているかなどのトピックが扱われる。
そして後半がいわゆる”国防学”である。現在の自衛隊の実態を入り口として、日本の硬直化した政府と官僚組織がいかに日本の安全保障を脅かしているかを検討し、著者たちの組織改変の提言を紹介する。そして平和のためにこそ、兵器を戦争を学び”国防学”を確立することの大切さを訴える。
兵器のスペックにこだわるミリオタのごとき知識はいらないが、兵器を”絶対悪”とするサヨクたちの訴える平和もまた、人と国家の性善説に拠った空虚なものでしかない。そのために”国防学”が必要だという著者たちの主張はもっともだと思うのだが。
初版2006/03 角川書店/単行本
解剖男
遠藤 秀紀
動物の遺体を解体・解剖することによって、その動物の特徴をより知ることができる。そして各動物の特徴を比較することにより、進化の系統発生、適応の類似点を推察することができる。解剖学者である著者は、知られざる学問、解剖学を紹介し、その将来を憂う。
本書はまず、巨大な動物解剖の方法やその難しさを紹介し、”硬い遺体”として骨から推察できること、”軟らかい遺体”として内臓などから推察できることに進む。あまたの学者が動物の標本から様々な研究を進めることができるのも、筆者のような解剖学者のおかげということができる。
内容自体は、遺体から分かる進化の系統など、非常に興味深い。ただ著者のレトリック溢れるというか、独特の言い回しが多用される文体は、おおむね科学書らしくないと思う。個人的には違和感ありありだった。
初版2006/02 講談社/現代新書
「湾岸ミッドナイト」という首都高ランナーを描いたマンガに、失ったモチベーションを取り戻すため、特性のマフラーを手に入れるエピソードがあります。クルマのエクゾースト・ノートがテンションを高めてくれる。
スケビの最新号を読んでいたとき、プラモにもこういうことがあるんだな、と実感しました。
期待のTSR.2を手に入れた後、購入した満足感でいっぱいでイマイチ組む気力が出てくなかったんですが、岡部ださく氏の<蛇の目の花園>に掲載された架空のTSR.2湾岸戦争バージョンを見て、みるみる”立体化したい”気持ちが盛り上がってきました。そんなもん、別売デカールが先行発売されてるだろ、という指摘はもっともですが、やはり尊敬する氏のサイドストーリーやECMアンテナ付のイラスト付だからこそイイんです。連休に取り組むターゲットが決まりましたよ。
え?試作機のホワイト塗装が怖かったんだろうって?決してそんなことはありません(笑)。
P.S.タイフーンも進んでます。連休前半までは同時進行ですかね。
ルート66をゆく―アメリカの「保守」を訪ねて
松尾理也
シカゴからロスまで、アメリカ中西部を突っ切るルート66は”都会への脱出路”として、数々の映画や音楽に登場する。そしてまた、アメリカのハートランドと呼ばれ、保守派と呼ばれる人たちが多く済む地域を繋ぐロードでもある。著者はルート66沿いの街を訪れ、東海岸あるいは西海岸の大都市からは見えないアメリカの姿を描いている。
アメリカの保守派層が日本でも注目され始めたのはブッシュ大統領が選挙で勝ったあたりからだろうか。メガチャーチと呼ばれる協会に集う、キリスト教福音派の人々。進化論を否定しID(インテリジェント・デザイン)を公立学校で教える地区。ボランティアとして、密入国者取締りに協力する人たち。最先端の国、アメリカのイメージとは違う人々こそ、アメリカのサイレント・マジョリティたちである。これらの人たちがどのような価値観を持って生活しているか、現地の人たちのインタビューを中心に紹介している。だが、知れば知るほどアメリカの”保守”の考え方が分からなくなる、というのが率直な感想。アメリカ建国の理念を信奉する人々の持つ思想は、単純にリベラルに敵対する概念ではない。追求すればキリがないが、本書はその入門書となろう。
初版2006/04 新書/新潮新書
訪米中の胡主席は、ボーイングを視察した際に、同社従業員を前に講演し、民間航空機の大半を米国から購入することになるとの見通しに触れた。
ありゃ?この間はボーイングのライバル、エアバスから旅客機いっぱい買うとか、中国に部品工場を建設するとか言ってなかったっけ?なんだか世渡り上手だなあ。
対して、海上保安庁による竹島周辺を含むEEZ(排他的経済水域)の海洋調査を巡って、ヒートアップする韓国。出張とかでこのニュースに完全に乗り遅れてたんだけど、著名なサイトによると、盧武鉉政権は見事にハマっているようだ。はっきりとカタをつけてほしいとは思うが、海上保安庁の方々の安全だけは祈念。
2008年に就航予定のボーイング787の主翼の中央翼を製造する、富士重工業半田西工場が20日に完成する。名古屋周辺には、三菱重工業と川崎重工業も787の部品製造工場を建設中で、秋ごろには日本メーカー3社による一大生産拠点が誕生する見通しである。
天下のトヨタ(最近の経済誌ではけなす記事も見かけるが)が豊田市にはあるし、ヒコーキとクルマの一大拠点になりつつあるな。ここは三菱、川重、富士重の航空部門が大同団結して、新しい航空システム会社なんてできないかな、と妄想してしまう今日この頃。その会社がF-3を国産で開発・・・などとさらに妄想してしまう今日この頃。世界的な軍縮傾向から、世界中の武器産業が統合に向かって動き続けている昨今、まるっきり絵空事じゃないと思うんだけどなあ。
各地で大人買いが報告されているF-toysの日本の翼JASDF Collectionを買ってきた。
ショップも分かっていて、バラ売りよりも\3675と値札をつけた箱の方が多く用意されてたりする。足元を見られてるような気もするが、コンビニで箱買いするのも恥ずかしいので良しとしよう。
あるばさんも報告されているように、デカールで部隊も選べる。説明書オススメでデカール貼っても、千歳から那覇まで全国の基地をカバーする親切さ。
自分の場合、シークレットはF-2の”50thAnniversary”だったんだけど、この塗装、ゲームに登場するヤツじゃなかったけ?実機があったっけ?オレもT-2のブルー仕様が欲しかった。
萌えよ!戦車学校Ⅱ型
田村 尚也 (著), 野上 武志 (イラスト)
今流行の萌え系キャラが戦車と戦車戦を解説していく入門書の第2弾。今回はイラスト増量である。
一般人が一般書店で買うにはツライ表紙だが、解説自体はいたってマトモ。本書では時代を第2次大戦に絞り、主要国別(ドイツ・日本・アメリカ・イギリス・フランス・イタリア・ソ連)に解説していく。その内容はハード(戦車)からソフト(編成・戦術・運用法)を紹介し、各国がどんな思想の元で戦車を開発し、どんな戦術で運用され、実戦でどんな結果を残したのか。伝説とその実態を明らかにしていく。
もちろん、マニアの方ならいわずもがな、という話も多いんだろうが、断片的な知識しかない、初心者の自分にとっては至極まっとうな解説書だった。イラストは・・・少なくともワタシは好みです(笑)。
初版2006/04 イカロス出版/単行本
ツレがTELで「中日新聞の子供が読むとこに、スターウォーズとか紅の豚とかのヒコーキつくってるプラモ屋が載ってた」というので、ネットをチェックすると確かにファインモールドが社員5人でがんばるプラモデルメーカーとして紹介されている!やるな、中日新聞。
ファインモールド、三河の会社だったのね。たった5人で金型作りから販売までやってるそうである。そんな小さい会社の製品が、スターウォーズの版権とってプラモ作ってるのか。頭が下がるな。こういうの見ると、プラモ作るにも気が引き締まる感じがする。
こういうメーカーにがんばってもらって、彼らの仕事に報いるためには、ユーザーが買い支えなければならないんです。誰に行ってるんだ?オレは(笑)。
事件は16日午後1時30分ごろ起きた。関係者のWさんはこう話す。
「製作中のユーロファイターにグレーを吹いていたんだ。なんだか出が悪いので、吹き出し量を大きめの位置にニードルを調整して再び吹くと、グレーに混じって前に吹いたレッドが吹きだしてきたんだ。おかげでユーロファイターはヒドイ状態になった。」
原因はエアブラシの清掃不足にあるようだ。問題は”締め切り”が1ヵ月後にせまっていることである。だが、Wさんは強気の姿勢を崩さない。
「何もかもダメになったわけじゃないよ。まだ時間は充分にある。既に手はうったからね。」
確かに今回の事件は不幸中の幸いといえるだろう。だが、悲劇は2度と繰り返してはならない。
エゾシカの増加が深刻化している北海道で、列車や車との衝突事故が急増している。05年度は列車事故だけで過去最多の1234件(急ブレーキによる回避も含む)、国道での事故は前年度に続き1300件を超える見込みだ。
先月末、旭川と北見を繋ぐ石北峠で、まだ雪の残る道路の路肩を、悠々と散歩をなさってるシカの団体様とすれ違った。転勤1年目だったら、絶対にパニック・ブレーキ踏んでスピンだったと思う。シカの方は本当に警戒心が薄いんだよなあ。
ここからは札幌ごく一部の地元ネタ。昨年の夏、珍しく仕事が片付かず午前3時にクルマを飛ばす帰り道、赤い目を光らせるシカを目撃。場所は白石区川下の厚別川付近。郊外とはいえ、そこそこの住宅地。「それは幻だ」と周囲にバカにされたわけだが、間違いないと思うんだけどなあ。実際のハナシ、どうなんだろ。
カトーさんがBlogModelersActivityのJavaScript版を公開されていたので、さっそく試してみた。
おお、なんと長いリストだ。
ココログの方はそにょ2の方でバッチリ表示されます。
一応、人柱として、ココログの埋め込み方をメモ。
リンクのマイリストを作成、設定の変更で「メモの表示」を「テキスト表示」にしておきます。後はリストのメモ欄に、カトーさんが公開されているコードの”そにょ2”の方をコピペして保存すれば出来上がり。
今までBlogPeopleの不安定な更新情報に頼っていたので、これはグッドです。サンクスです、カトーさん。
コンビニエンスストアの出店にブレーキがかかっている。大手5社の2006年2月期の出店は当初計画を合計100店程度下回り、前の期からほぼ横ばいの2700店弱にとどまった。
以前、とあるコンビニの本部に勤めている方が会社を辞め、飲食店を開店するまでの支援をさせてもらったことがある。スーパーが低迷、コンビニが絶好調のころだ。なぜ今をときめく大企業を辞めて独立するのか、中小企業勤めのオレにはどうにも不思議だったのだが、「神経がもたなかった」そうだ。
本部へ支払う高いロイヤリティ、バイトを確保できなくて長時間勤務を強いられる年老いたオーナー、キャンペーン品の買取圧力、そして閉店する場合の高い違約金。2ちゃんねるなどでは”現代の奴隷”と名づけられるほどオーナーはキツイが、そのオーナーにプレッシャーをかけ続ける方の本部担当者という仕事も、かなり神経をすり減らすらしい。
記事中には”景気拡大に伴う人材需給の引き締まりで加盟店のオーナー確保が難しい”のが原因と分析されているが、そろそろ過酷なあの業界の内実がバレはじめているのではないだろうか。
アムネスティ・インターナショナル日本、グリーンピース・ジャパン、ピースボートなどが中心になり、「共謀罪に反対するNGO・NPO共同アピール」をまとめた。
これほど華麗な”釣り”を初めて見た。”環境、国際協力、医療、福祉などの問題に取り組む非政府組織”だったら、少なくとも彼らには関係ない法律なんでないの?これじゃ自分たちで、「我々は市民団体という仮面をかぶってて、反体制の共謀をしてますよ」ってアピールするようなもんじゃないの。
いや、こちらも思わずニュースに釣られてアップしてしまいました。
市民団体様のアピールはこちらで。
話し合うことが罪になる 共謀罪の新設に反対する市民団体共同声明
日本近海で高速船がクジラとみられる海洋生物と衝突する事故が多発しているが、アメリカ海軍の次世代低周波ソナーがクジラの聴覚器官に悪影響を与えている可能性が浮上している。
<軍事研究>でも以前取り上げられていたが、アメリカ海軍が新型の低周波アクティブ・ソナーを開発中で、太平洋限定でテストを重ねているのは事実。なぜ太平洋限定かというと、記事にあるように海洋生物に与える影響が大きく、環境保護団体から抗議され、大西洋方面でのテストができないそうだ。日本近海でビシバシと215~240dbの”ピン”を打ち、その音響効果でクジラの内耳が狂い、フラフラになったところで高速のジェットフォイルと衝突する、と。ありそうな話ではあるが、なにせ海は広い。昨今の事故全部に適用させるのは無理があるかも。低周波ソナーの詳しい話はコチラで。
ソースがZAKZAKなので、中国の潜水艦の脅威などがさりげなく盛り込まれているが、パッシブ・ソナー中心のASW(対潜水艦戦闘)から、アクティブ・ソナーを使うASWの新しい戦術が実際に開発されつつあるのだろうか?具体的な戦術の特集を<世界の艦船>に希望。
スズメがこの冬、全道各地で姿を見せなくなったとの報告が相次いでいる。原因について研究者らも「見当がつかない」と首をかしげ、農家は「田畑の害虫が増えたら困る」と心配しているそうである。
最近、札幌でちょいと話題のニュース。確かに朝、目が覚めても聞こえるのはクルマの音だけで鳥の鳴き声が聞こえない。鳥の鳴き声を気にする上品なココロは持ち合わせていないが、ちょっと不気味ではある。そんでもって続報が。
旭川市内でスズメが数十羽単位で死んでいたという通報が3件あり、上川支庁は原因調査に乗り出した。
うーん、旭川は札幌から130kmも離れてるからなあ。原因が分かっても一緒にできるんだろうか?さらに続報を待とう。
「イスラムvs.西欧」の近代
加藤 博
トム・クランシーあたりの小説でよく使われる「イスラムのテロリストは原理主義のごく一部の連中で、大部分のイスラム教徒は平和を望んでいる」というようなロジックは、昨今のイスラムと西欧のギクシャクした関係を見ると、首をひねらずにはいられない。西欧の人々はイスラム教徒の偏狭さを嫌い、イスラムは人権を盾に無神経にふるまう西欧の人々を嫌っているように見える。テロリストを”一部のハネ返り”とするのは、思考停止というものだろう。本書はそうした状況の中で、イスラムの、西欧への違和感がどこから生まれたかを探るものである。
だが本書は分析の報告というよりも、近代エジプトを中心とする歴史書だ。オスマントルコの時代から第2次大戦にかけての激動のエジプトを、その時代の知識人と思想を紹介し、西洋世界と文明について距離感の変化をみる。植民地統治と独立の気運の繰り返しの中で、近代・キリスト教・ヨーロッパへの嫌悪感が徐々に醸成されていく歴史を辿る。
残念なのは結論がイマイチ弱いところだろうか。あとがきで著者は、イスラムの、近代・キリスト教・ヨーロッパへの嫌悪が克服不可能ではない、としているが、個人的にはどうにも克服不可能に見えてしまう。イスラムの偏狭さはヨーロッパあるいはアメリカの鏡でしかないとしているが、ならばイスラムからも不寛容を改めなければならないのではないかと思うのは、自分があまりに西欧文明に毒されているからだろうか。
初版2006/04 講談社/現代新書
天晴れ!筑紫哲也NEWS23
中宮 崇
2ちゃんねるの実況板でも長寿を誇る<真夜中のニュースランド>、筑紫哲也NEWS23。親中国・親朝鮮半島、そして反米という姿勢を徹底的に貫き、その姿勢に都合の悪いニュースは華麗にスルー。世論調査の結果を都合よく切り取る。本書はこうしたNEWS23の姿勢を、他の報道番組との比較を中心に分析している。別冊宝島あたりならともかく、新書で発売されるとは、NEWS23がいかに高い関心を維持している番組か分かる。
本書は基本的に、前掲した2ちゃんねるの筑紫ウォッチをまとめたものだと思えばよい。筑紫自らが「便所の落書き」と称した2ちゃんねるに自分の番組を検証されているのである。個人的に筑紫が不幸だと思うのは、テレビはつまらないものの、習慣としてテレビをつけてしまうために、「報道ステーション(または前番組)」「NEWS23」とニュースを連続で見てしまう、ワタシを筆頭とするヒマ人がいることであろう。おかげでNEWS23の番組構成と筑紫の発言の偏向ぶりが目に余ってしまう。
たぶん田原総一朗の雑誌だったと思うが、筑紫が田原の対談の中で「自分の伝えたいことだけを伝えている」みたいなことを言っていた。ようするにNEWSと名乗っているから問題なのであって、プロパガンダだと思えばいいのではないだろうか?日本を敵視する隣国におもねるのが、プロパガンダかどうかはともかくとして。
残念なのは昨今の特定アジアの暴走っぷりに、さすがの筑紫もフォローが行き届かないことだろう。”アンチ地雷キャンペーン”のときのような、「え、中国の超低価格対人地雷は完全スルー!?」というような、ハチャメチャなドライブのかかりっぷりを、もう1度見たいものだ。
初版2006/04 文藝春秋/文春新書
雷轟 PAX JAPONICA
押井 守
アメリカの南北戦争が南軍の勝利に終わり、アメリカが分裂したまま世界のビッグパワーとなることなく進んだ架空の歴史。日本は敗戦を経験することなく、環太平洋の覇権を握っていた。そして現実のアメリカと同じように、冷戦時代のベトナムの泥沼にはまっていた。
押井カントクが構想を温め続けた”PAX JAPONICA”シリーズの第1弾となるのが本書「雷轟」である。だがカントクはシュミレーション・ノベルを書こうとしたのではない。海洋という自然の防壁に囲まれた狭い国ゆえに、稀有なメンタリティを持つ日本人。その日本人を「空爆する主体こそ絶えずその正義を問われる」状況、つまり覇権国家に投げ込むことにより、現実の覇権国家アメリカよりもっと不手際を重ね、右往左往する姿を描こうというものである。本書には本編となる短・中篇2編と、そこに到るカントクの構想、シリーズで描こうとするものが何かをカントクが答えるインタビューが収められている。
本編の方は、シリーズの発端となるアメリカ南北戦争の最後の戦いを描いた「アンティータム」、効果のない空爆にイヤ気のさした旧式爆撃機のパイロットがもくろむ、とある計画の顛末を描いた表題の「雷轟」となる。だがカントクの小説なので、軍事スペクタクルになろうはずがなく、アクションは少なめ、男や女が延々と兵器や政治的状況について語る、ファンにはお馴染みの形式だ。
カントクのインタビューと構想を信じるならば、このシリーズは年代記の形をとるようだ。大まかな架空の歴史の流れに沿って、個々の戦場のエピソードを描くことにより、現実の日本の姿をあぶり出す。自分などは「待ってました!」というシリーズ開始だが、完結するのはいつになることやら。カントクが飽きることなく、ライフワークとして続けてほしい。願わくば映像化も。
初版2006/03 エンターブレイン/ハードカバー
イラン国営テレビは2日、同国が水中ミサイル「フート(クジラ)」の発射実験に成功したと伝えた。イラン革命防衛隊海上部隊のファタビ副司令官は、「このミサイルは、秒速100メートルで世界最速である」と語った。仮にソナーで探知できても回避するのは困難という。
これは、弾体の先端から気泡を発生させ、弾体全体をスーパーキャビテーションという抵抗が少ない状態にして、なおかつロケット推進にすることで飛躍的な水中速度を出せるという、いわゆるシュクバルというヤツと同類なのだろうか?それをイランが開発?
さらに数日前のニュース。
イラン国営テレビによると、同国のサラミ革命防衛隊航空部隊司令官は31日、多弾頭ミサイルの発射実験を行い、成功したことを明らかにした。同司令官は、このミサイルがレーダーが捕捉できない「新世代」のものであると強調した。
これは、複数弾頭を搭載できる弾道ミサイル、いわゆるところのMRVもしくはMIRVを開発し、さらに弾頭がステルスってこと?それをイランが開発?
とばしてるなー、イラン。ハッタリをかますにしても、あまりに発表する兵器がオーバースペックなんじゃないだろうか?調子にのってると、恫喝を通り越して、アメリカに航空攻撃の口実をつくってしまうと思うんだけどなあ。
エア・パワー ―その理論と実践―
石津朋之ほか
ライト兄弟による人類初の動力飛行から、わずか100年の間に航空機は軍事力の中心の1つに押し上げられてきた。その中で発展してきたエア・パワーの本質とはどんなものなのか。本書は複数の執筆者により、それを理論的に考察していく。
本書はまず、エア・パワーの歴史を辿る。民間機も含めたエア・パワーの解説のあと、現在の軍事学理論の古典の1つ、ドゥーエをまず紹介する。空軍力によってのみ戦争の趨勢を決めるとしたドゥーエの理論は、さらに次章の戦略爆撃理論に繋がっていく。エア・パワーの極みである戦略爆撃で、戦争の趨勢を決することができるのかを考察する。
さらに海軍におけるエア・パワーの考察と、日本の第2次大戦以前のエア・パワーの発展を分析する。陸軍・海軍の対立は日本にとって害しか生まなかったというのが一般的なイメージだが、技術的な面では良い点もあったのは意外な指摘だ。考察はさらに自衛隊の発展に続く。
分析は、第2次大戦後にエア・パワー信奉の中心であるアメリカ空軍の変化に移る。いくつかの実戦を経て、アメリカのエア・パワーはドラマチックな変遷をとげている。実戦の例としては、最近の湾岸戦争とコソボ紛争を章を別にして分析している。エア・パワーの最高の成功例といえる湾岸戦争と、評価がしにくいコソボでの懲罰爆撃。武力行使として何を2つの航空戦から学ぶのか。
一番興味深いのは「弱者にとってのエア・パワー」という章である。国家の経済格差の増大とテクノロジーの発展により、”ワンサイド・ゲーム”になりがちな近年の紛争だが、弱小国はどのように抵抗するのか。実際にコソボ紛争の際に、セルビアはアメリカ空軍の攻撃を国際社会の批判に晒し、また地上戦力を温存することに成功している。そのキーになるのはなんだったのかを考察する。
最後にエア・パワー概念の個別理論となる「ドクトリン」の持つ意義について述べている。戦力の枠だけを形成し、具体的な行動原則が見えない自衛隊に対する警告であろう。
このように、本書はミリオタが読むというより、”士官学校の教科書”といったふぜいの学術書であるが、そう難解な表現はなく、基礎的な知識があればちゃんと読み進める。エア・パワーに対するあいまいな概念を整理するのに最適な1冊である。
初版2005/06 芙蓉書房出版/ハードカバー
風邪が治らないうえに、押井守の新作がAmazonからようやく届いたので、テレビと読書のだらけた1日。生産的行動はシャツにアイロンかけたぐらい。んで、気になった番組をメモ。
交響詩篇エウレカセブン
最終回スペシャル。正直なところ、ドラマが最高潮に盛り上がって大団円ということもなく、物足りない感じ。
もしもツアーズ
普段は見ないのだが、運のいいことに空自の松島基地をご案内の回。F-2のコクピットを見せてもらったり、食堂でメシ食ったり、売店でお土産買ったり。千歳基地より厚生施設がよさそうな感じ。ラストは三瓶がブルーのT-4に搭乗、地上滑走を体験。何よりも驚いたのは三瓶の体形のパイロット・スーツがあって、T-4のコクピットに座れたこと。オレも体験試乗できることが分かった(笑)。
たかじんのそこまで言って委員会
京都から札幌に転勤してきて、見れないのが残念な番組の1つだった「たかじんのそこまで言って委員会」。ようやく札幌でも始まりました。それでも関東を飛ばしての放送決定だそうだ。テーマが尊厳死と銀行と県民性だったので、さほど過激な感じはなかったんだけど、どのパネラーも東京キー局と言う事が違ってオモシロイ。たかじんの実体験のハナシや話題の収拾の仕方もうまくて、「TVタックル」なんかより、よっぽどまとまっていると思う。ホリエモン逮捕とか偽メールとかが”旬”のときに見たかった。
ペンタゴンの防衛脅威削減局は、ネバダ州の実験施設で6月に地下施設の攻撃に使用する通常型の地中貫通爆弾「バンカーバスター」の実験を行うと明らかにした。TNT火薬593トンに相当する爆薬を使い、通常型としては過去最大規模の実験という。
という読売ON LINEの記事。通常爆弾でTNT換算593トンの爆発実験?どんな高性能な火薬でもTNTの2倍も3倍も爆発力を持つわけもなく、もちろん何百トンのペイロードを持つ航空機などなく、どんな実験だ?と思ってると、2ちゃんねるに元ネタのワシントンポストの記事へのリンクがあった。
ようは核による地下施設破壊の代替手段として、硝安油剤爆薬(ANFO:土木工事などに使用)を700トンを地中で起爆させ、通常兵器による大規模な地下施設破壊の実験を実施して、データを取る、ということらしい。キノコ雲が上がるけど、核実験をやってるわけじゃないよ、というペンタゴンからのお知らせなのだろう。記事を短くまとめなければならない、というのは分かるが、読売の記事はあんまりにも理解不能のニュースになってない?軍事に疎いのはともかく、訳としてももうちょっとちゃんとして欲しい。
ユーロファイターにエアブラシを吹きたい。でも風邪気味で喉が痛くて、エアブラシのミストを吸うのがコワイ。でもプラモに触りたい。で、エアフィックスのTSR.2のパッケージを破ってみました。
toyさんが簡易っぽいと言われるのも納得。なんだかすべてのパーツが丸っこく、厚いです。ストレート組み命のワタシ、あんまりウスウス攻撃とかスキじゃないんですが、ちょっとツラそうなところ多数。プラが軟らかいのが救いですかね。だけどコクピットのデカールなんかはヤケに高品質だったりして、なんともフシギな第一印象です。
運河彫りをすべて直すテクはないので、それは生かす方向で、なおかつ不思議な段差は消す方向でいきます。
それにしてもデカい。これに乗るのが人間2人と核爆弾1つというんだから、確かにもったいない。不思議なのはこの時代を最後にイギリス単独での戦闘機開発はできなくなったけど、ロールスロイスというエンジンメーカーは生き残ったこと。日本をはじめとして、機体やFCSはなんとかなっても、タービンエンジンが開発できないという国が多いのに。蛇の目の世界には謎が多い。
ノーボスチ通信によれば、ロシア国会のエネルギー委員長、バレーリー・ヤゼフ氏は議会で、ロシアの高品質ガソリンの需要が2015年までに現在の年間2700万トンから40%増の3800万トンに達すると予測。しかし国内製油所からのガソリン供給量は同3000万トンにとどまるため、最大800万トンを輸入に頼らざるを得なくなると明らかにした。
ガンガンと石油を掘って輸出し、石油産業のトップはイングランドサッカーのビッグクラブを買収するなど、ロシアは石油採掘によって国力を回復している。が、内実は設備投資を怠って、ひたすら原油輸出で潤っているだけ、なんだろうな。イビツな産業構造を改善しないと、安く原油を輸出して高くガソリンを輸入するという、本末転倒な事態になり、またまたロシアの経済が悪化。するとエネルギー供給でで繋ぎとめている旧ソ連邦の各国の離反が始まって、中央アジアが混乱して・・・なんてことになりかねない。まあ、アメリカの石油産業がコンビナート建設という大きな事業を見逃すはずがないような気もするが。
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