書評<すぐわかる国防学>
すぐわかる国防学
林 信吾/清谷 信一
物騒な表紙と”国防学”というタイトルで何やら固そうな本だが、内容は最近の安全保障に関するトピックと、著者の常日頃からの主張をまとめたものと言ってよい。
軍事のトピックとしては、アーマーライトとカラニシコフを比較して兵器開発思想の違いや、日本の技術がいかに現代の戦争に使われているかなどのトピックが扱われる。
そして後半がいわゆる”国防学”である。現在の自衛隊の実態を入り口として、日本の硬直化した政府と官僚組織がいかに日本の安全保障を脅かしているかを検討し、著者たちの組織改変の提言を紹介する。そして平和のためにこそ、兵器を戦争を学び”国防学”を確立することの大切さを訴える。
兵器のスペックにこだわるミリオタのごとき知識はいらないが、兵器を”絶対悪”とするサヨクたちの訴える平和もまた、人と国家の性善説に拠った空虚なものでしかない。そのために”国防学”が必要だという著者たちの主張はもっともだと思うのだが。
初版2006/03 角川書店/単行本
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