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2006.05.11

書評<カラシニコフⅡ>

カラシニコフII
松本 仁一
ミハイル・カラニシコフが設計した名銃、AK47を軸にし、不安定な世界情勢をレポートするドキュメントの第2弾。朝日新聞の連載をまとめたものだが、過剰なフィルターを通った感じはしない。
本書は主に2パートに分かれ、コロンビアをメインステージした全編、アフガン・イラクをメインステージにしたレポートからなっている。
コロンビア編では、ゲリラが麻薬による収入によりカラシニコフを入手するルートがレポートされる。安価であるはずのカラシニコフが、麻薬とのバーター取引により高値でコロンビアに流入する。その影には、アメリカの武器取引業者と、中国のノリンコなる武器製造公司。ノリンコ製造による、カラシニコフの改悪コピー品の不正輸出に対し、政府およびノリンコからの回答はない。
アフガン・イラク編で興味深いのは、パキスタン奥地での銃の密造工房のレポート。意外とシステマティックに製造される密造カラシニコフに驚かされる。そして著作権にうるさいアメリカが訓練する新生アフガニスタン軍・イラク軍に支給されるのは、カラシニコフのライセンス権が切れたのにも関わらず、あいかわらず生産を続ける東欧各国の輸出品だ。こんなところにもダブルスタンダードが見え隠れする。
優秀な設計を持つがゆえ、コピーされ、世界中を流動するカラシニコフ。その歴史はまだまだ終わりそうにない。

初版2006/05   朝日新聞社/ハードカバー

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Comments

こんばんはー
カラシニコフの特集は新聞掲載時から朝日にしてはなかなか質の高いレポートだった気がします。
東欧ではAKに代わる小銃開発中の国も多いですが、やっぱりまだ従来のAKも生産しているんですねえ。
余談ですがAKファミリーではフィンランドのバルメに(;´Д`)ハァハァしますよ。

銃ってライセンスが切れて無くても結構あちこちでコピーされてる気がするんですが。ガバメントとCz75とかパテントが有効なうちから東西陣営問わず各国でコピーされていた悪寒。

>あんぐらさん
こんばんはー。
「GUN」なんかを見てると、本家カラシニコフをはじめとして新しいアサルトライフルを見かけるんですが、やはり信頼性が重視されるんでしょうか。
モノが武器であるがゆえに、パテントの訴訟とか起こしにくいのかも知れませんねえ。アメリカ国内を除いては。

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