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2006.06.30

最近おもしろかったマンガ 060630

宙のまにまに 1 (1)
BARSERGAさん推奨。
一言でいうと、高校の天文部で繰り広げられるラブコメ。なんだけど、本好きなのに夜空大好き少女に引っ張られる主人公のモノローグにグっとくる。
「どんな街に行っても、本があると安心した。だけど空を見上げて、感動する自分がいる。」
自分も本屋とプラモデル屋がある限り、どこに行っても変わることのない生活のはず、だったはずだが、札幌の夜空だけは本州の都市の夜空と違い、圧倒的にキレイで”生まれたところを遠く離れて”を実感した。それにしても、おおきく振りかぶってといい、女性作者の描くフツーのマンガが元気だなあ。

正義警官モンジュ 2 (2)
人間に近い感情(グズグズと悩んだりする)を持つが、ある欠陥を抱えたロボット警官モンジュと、スケベだが正義感は持っている警官のコンビを中心とした、交番物語。人情物語あり、キカイゆえの物語ありだが、モンジュが成長する姿に好感が持てる。大きな陰謀も背後にあったりするので、日常の物語との交差もおもしろい。

RAISE 2 (2)
ベテラン新谷かおる先生の戦記もの。W.WⅡのB-17爆撃隊の活躍が描かれる。YOUNG KING OURSにて連載中は下書きで掲載されたりして、先生もヤキが回ったと思ったもんだが、単行本になってみると、やっぱり安定している。

2006.06.29

東京マルイ コルト・ガバメント購入記念;ショートストーリー「食べかけのチキン・ソテー」

オレは名はリッグス。ロスのダウンタウンで私立探偵なんぞをしている。ハードボイルド?とんでもない誤解だ。仕事は信用調査に浮気調査。それも大きな事務所の下請け。内部監察官に悪態をついたあげく、市警を追い出された中年男の哀れな末路さ。今日も無駄足を踏んだあげく、安いだけが自慢の雑居ビルにある事務所兼自宅に戻り、狭いキッチンで、なんの工夫もなくチキンを焼いている。我ながら悲しくなってくるね。
安ワインを開けて、チキンを2切れ口に入れたところで、ブザーが鳴った。夜も更けたのに客?オレは立ち上がり、ドアまで近づいて覗き穴から外を見てみる。そこには黒いドレス姿の女が腕を組んで立っていた。少々籐が立ってはいるが、なかなかの美女だ。しかし、ダウンタウンの夜に上着もなしにドレスとは、少なくともオフィスワーカーではない。悪い予感は無視して、実利を優先するオレは彼女の長い脚でも拝ませてもらおうとドアを開けた。
「ハーイ。久しぶり。」
どこかでお会いしましたかね?と粋に返す暇もなく、廊下の奥まったところにあるエレベーターホールからハンドガンを構えた男が2人、飛び出してきた。2人とも白人で、1人は真っ直ぐオレに銃口を向けたまま、1人は周囲を警戒しながら近づいてくる。絵に描いたようなフォーメーション。ガンはグロック。彼らも実利を重んじる主義らしい。逆らわない方がよさそうだ。自主的に両手を頭の後ろに組むことにする。
「ワタシがあなたに恨みがあるわけじゃないんだけど、ワタシの客がね、どうしてもっていうから。彼らはその関係者ってワケ。」
警官時代まで遡って記憶を手繰り寄せたが、心当たりが多すぎて見当がつかない。
「無理やり押し入ってズドンとやればよかったじゃないか。」
「なるべくなら自殺に見せかけたいらしいわ。遺書も貰ってきた。女房と娘に逃げられた探偵が、孤独に耐えかねて飛び降り、なんてありがちなハナシじゃない。」
そんなハナシ、ありがちじゃないだろ、というオレのイヤミは華麗にスルーされ、彼女は小さなハンドバックから白い封筒を取り出した。そしてドアを支えたオレの横をハイヒールをカツカツといわせながら通り過ぎ、モノが散乱しているデスクに近づき、封筒を放った。そしてドアまで戻ってくると、
「さ、屋上へ行きましょ。」
と言い、さっさとまた歩き出す。オレは男の一人に話しかける。
「なあ、まだディナーが食べかけなんだが。」
男は無言のまま、ガンを少し動かし、黙ってついてこいと促す。無駄な時間を使うのはキライらしい。
オレはドアを離れ、後ろに2人の男を連れて歩き出す。そのエレベーターでは屋上に行けない、と女に言い、階段で屋上に向かう。むろん時間稼ぎのためだ。さらに時間を稼ぐためにゆっくり歩くが、2人の男がグロックで背中をつつく。こちらの逡巡むなしく、すぐに屋上にたどりついた。男たちはさらにオレの背中を押し、建物のふちまで歩かされた。
「なあ、最後にタバコぐらいいいだろ?」
オレは顔だけ振り返って、また話しかける。プロっぽく無言のままの男だが、情けが少しは残っているらしく、女の方を振り返った。
「1本だけよ。」
とカツカツとオレに近づき、メンソールを口にくわえさせると、火をつけてくれた。なんの解決策も思いつかないまま、空しくタバコが短くなる。
解決策は、屋上小屋のドアから唐突にやってきた。
「フリーズ!ロス市警だ!」
スーツ姿の男と、制服をきた男女のコンビが、これまた油断なくハンドガンを構えている。オレの頭の中は助かった、という思いで支配されたが、同時に軽く舌打ちした。
「銃を地面に置き、2歩下がれ!妙な動きを見せたら発砲する。」
舌打ちの原因である、スーツ姿のスマートな刑事が通告する。男たちはもともと気ののらない仕事だったのか、今の状態での罪刑を計算したのか、素直にハンドガンを下ろした。最後まで男たちは無言だった。女だけが「ワタシは無関係よ!」などと叫んでいる。制服警官たちが男たちの後ろに回り、腕を取って手錠をかけた。男たちをひざまづかせると、制服警官(男)が警戒を続けたまま、制服警官(女)が喚くのをやめろ、と怒鳴りながら、黒いドレスの女の腕を取った。オレはほっと胸を文字通り撫で下ろす。
「危ないところでしたね。」
周囲の警戒を続けながら、制服警官たちのバックアップをしていた男が近づいてきた。かつての相棒、フレッドだった。イヤミなほど粋なスーツ姿は相変わらずだ。オレはフン、と鼻を鳴らすと、制服警官たちに目をやり、
「どうして自殺じゃないと思ったんだ?」
と、ハナシをだいぶ省略してフレッドに聞いた。
「ああ、応援のことですか?あなたが自殺するような男じゃないのは知っていますよ。ましてや食事の途中ではね。」
ウインクをしながらフレッドが答える。志望動機に堂々とハリウッド映画のヒーローたちの名を記入したこの男、しぐさまで芝居がかってきた。
「それと、これは墓の中まで持っていく相棒でしょう。」
フレッドはベルトから古ぼけたガバメントを抜いた。警官らしく、マガジンを抜き、スライドを引いてチャンバーにカートが装弾されていないことを確かめてから、グリップをオレに向けた。俺はまたフン、と鼻を鳴らし、それを受け取る。
「で、今日は何の用事だったんだ?」
「ああ、ピートの写真を持ってきたんですよ。」
フレッドはジャケットの内ポケットから1枚の写真を取り出した。娘のキャサリンが微笑を浮かべながら、生まれたばかりの赤ん坊を抱いている。その昔、フレッドを自宅に招いたことは、オレの人生最大のミスだった。
「娘が相棒のところに行っちまうは、そいつに命を助けられるは、オレはホントに不幸の星に生まれてるな。」
「ハハ、不幸な人は孫の顔なんて見れないでしょう。ディナーを食べ損なったんだったら、一緒にどうです?」
フレッドはまたウインクをした。オレは大きなため息をついた。まあ、早すぎる孫の顔を見ながらのディナーは悪くない。
「ああ、そうさせてもらうよ。」
結局のところ、オレの人生はそう悪いものではないのかも知れない。

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最後まで駄文につき合ってくれた方、ありがとうございます。東京マルイのガバメント、静岡ホビーショーでブラスト処理された表面処理に個人的にベタ惚れし、予約購入。グルーピングも満足です。それでは、今夜はまた妄想の世界に戻ります。

<ケルベロス鋼鉄の猟犬>本編スタート

押井守カントクの新作は、なぜかラジオドラマ。首都圏AMの平日深夜放送という困難な聴取環境だが、なんとか聞くことができたので感想をメモ。
作品としてはカントクの持ちネタ、<ケルベロス・サーガ>の新作で、第2次世界大戦の独ソ戦が舞台。第1話は世界背景の紹介といったところ。しょっぱなから、南雲隊長(の声の人)にバルバロッサ作戦の要旨を語らせたり、別の軍人に戦前のドイツ映画の環境を語らせたり、深夜といえど公共放送とは思えないカントクの趣味が炸裂している。毎月最終水曜日の深夜放送ということだが、どーなることか今から心配。
次は雷電というサイトでカントクのインタビューが配信されるとのこと。


というわけで、あるばさん、ちゃんと聞くことができました。イマイチ仕組みは分かっていませんが(笑)。ありがとうございます。

2006.06.28

本日の衝動買い 060628およびポルシェ祭り参戦表明

BAELさんに誘われ、ずーっと気になっていたPORSCHE.CON 。しかし、ホビーショップの棚に並んでいる現行品はなぜかピンとこず、ちょっとためらっていました。ですが、某中古ショップにて、ついに衝動買い。
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ハセガワのCカーを3台購入。Cカー全盛の時代はプラモデル業界から離れ気味でして、みなさんが在庫を紹介するまで、こんなにCカーのキット出してたとは知らなかったのですが、ついに入手。しかし、ハセガワ、767Bのキットに787Bのル・マン優勝のオビをかけて売るとは、どういう商売してたんだ(笑)。
というわけで、20数年ぶりのカーモデル製作という無謀な挑戦ですが、オムロン ポルシェ962Cでポルシェ祭りに参戦です。えーっと、早速ですが、このポルシェのマスキングの方法、教えてください(笑)。

2006.06.27

デジカメを買い換えた

新しいデジカメを買ってきた。といってもコンパクトからコンパクトへ買い換えた、というだけのハナシですが。
モノはFUJIFILM FinePix F11
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そろそろ新しいの欲しいな、と思っていたところにUSSキティホーク入港のお知らせ。暗い格納庫の中をキレイに撮るのに、最近CMで見かける高感度撮影できるというデジカメが気になりカメラのキタムラへ。「新商品が出て型落ちになるが、F11の方がつくりが良い」「薄型のモノより手にしっくりくる方が」「この価格では数量限定」と矢継ぎ早に繰り出されるセールストークに敗北。それと、高価な大容量フラッシュメモリーのことを考えると、デジカメってメーカー乗換えが難しいと感じるのは、ワタシがケチなせいでしょうか。

というわけで、某国の首領様よ、人工衛星か弾道ミサイルか知らんが、ロケットなんぞを打ち上げて国際情勢を緊迫させるようなことをしないでくれ。頼むよ、ホント。

2006.06.25

本日買いとどまった本 060625

MC☆あくしず Vol.1
萌えよ!戦車学校 02式の路線を推し進め、続編の<萌えよ!戦車学校Ⅲ型>の連載のほか、ミリタリーと美少女イラストの組み合わせで押しまくるムック。ちょいとやりすぎではなかろうか?エロ本よりレジに持っていくのが恥ずかしい。

イラクと自衛隊ブログ
まあイロイロと書籍化させるブログだが、イラク派遣自衛隊取材ときたもんだ。シロウト目線からの戦場取材、だそうで<軍事研究>定期購読者には必要ありませんです、ハイ。
参考までに当該ブログのリンクはコチラです。

それと、ホビーショップでモデルグラフィックスの早売り(全国的にはフツーなのだが)を買ってくる。特集はタミヤ1/32のゼロ戦をフィーチャーしている。その他、ヒコーキの作例はウォーラスとかフォッカーD.Ⅶとかマニアック。それはいいんだけど、別件だけどハセガワ1/48のF-104DJが定番品でなかったり、最近どうも現用機の影が薄い。複葉機マイスターの方々を暗黒卿と呼ばせてもらったりしてたけど、近いうちに立場が逆転するかも、と思えてきた。ちょっと哀しい。

A-10A Day3rd

昨日の夜は会社のエライ人とホルモン食ってました。調子に乗りすぎて、ウコンを飲んだかいもなく二日酔い。頭がオモイ状態で、わずかにA-10A、進行。
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搭載兵器類をヤスって、塗って、デカール貼ってます。一昔前はミサイルがホワイト主体で塗装に気をつかったものですが、グレー主体だと隠ぺい力が高くて楽。キットのA-10Aにはミサイル類のデカールは入っておらず、塗るのもメンドーなのでハセガワの武器セットからチョイス。ここらへんがこのキットの惜しいところ。うーん、集中力がもうこのへんで限界。ボーっとワールドカップでも見よう。

2006.06.24

書評<飛び道具の人類史>

飛び道具の人類史―火を投げるサルが宇宙を飛ぶまで   THROWING FIRE
アルフレッド・W・クロスビー  Alfred W.Crosby
人類と他の類人猿との違いの1つとして、”ものを投げる”という能力は意外と知られていないのではなかろうか?類人猿は道具を使っても、人間のような”投擲”はできない。樹上から地上に降り、二足歩行を始めた人類は”ものを投げる”能力を持つこととなり、知恵をもってその能力を”延長”し始める。そして、もう1つの人類の特徴である”火を恐れない”がそれに結びついたとき、人類の1つの革新が始まる。本書は”飛び道具”がいかに人類の繁栄と争いを促してきたかを辿る歴史書である。
本書は、人類が直立二足歩行を始めた時代から始まる。投石という一見、簡単な行為がいかに人類を狩りの名人にすることになったか?そして人類は槍を生み出し、その到達距離を延長し、さらに重い石を投げる装置を発明するという、流れを紹介する。一方、人類は”火を使う”ことを覚える。それは槍などの武器と結びつき、大砲や小銃に結実する。中世にいったん、そのテクノロジーの発展は止まってしまうが、産業革命からはアポロ・ロケットまで一直線である。
本書のおもしろさは前半部分の、”ものを投げる能力”の発展部分だと思う。後半以降はむしろ、火薬の発明による、戦争の歴史でもあり、その歴史なら従来よく知られるところだからだ。人類が他の亜種や類人猿と分かった能力の一端を深く知ることができる。
本書の前書きにある「ミサイルが穿った穴の中であれ、宇宙空間であれ、人類はあいかわらず火を投げながら最期をときを迎えるのだろう」というのは、しごく名言である。

初版2006/05 紀伊国屋書店/ハードカバー

2006.06.22

キティホーク小樽入港・公開について

既にご存知の方も多いと思いますが、一応メモ。
7/1に小樽港に入港するUSSキティホークは一般公開はなし、招待制になるとのこと。往復はがきで札幌商工会議所のキティホーク歓迎委員会に5/26までに申し込むか、道内の商工会議所の窓口で招待状を配布しているとのことです。

ちなみにワタシは札幌の商工会議所でゲットしてきましたが、必要事項記入といっても住所と氏名記入ぐらいで、受付のおねーさんがすぐに渡してくれました。一応、7/1も7/2も行くつもりで貰ってきたんだけど、さて、どうしますかね?

書評<グレートメカニック21>

グレートメカニック (21(2006SUMMER))
書評、というかご紹介。ガンダムを中心にアニメのメカニックを紹介する季刊のムックなのだが、今回の特集は「80'sロボ」。80年代前半という、わずかな時間にに百花繚乱のごとく製作されたリアルロボ・アニメたちを紹介、検証する。ああ、すべてが懐かしい。さらに特集として「シュナイダー・カップ」とそこで戦った水上機たちを紹介している。「紅の豚」からだとは思うのだが、あまりにマニアック。だが、ガソリンにまでこだわった当時の技術の最先端を用い、国の威信を賭けたレースを詳しく紹介している。この2つの特集、ツボにハマる人も多いと思うので、未読の方はどうぞ。

初版2006/06 双葉社/ムック

2006.06.21

A-10A Day2nd

先日のツレとのTELでの会話。
「週末にプラモの在庫の整理しながら数えたら、55個あったよ。これを全部作るまでは死ねない。」
「ふ~ん。年に何個ぐらい完成するの?」
「平均したら6個ぐらいかなー。」
「ふ~ん。フフフ・・・。」
「何の笑いだ?そりゃ。」
「いや、案外と早く死ぬんだなと思って。」
「・・・。」
今後のために、作るより購入して積んでく量の方が多い、とは言いませんでした。
そんなことはどうでもよく、A-10Aの小物製作。
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この小物を全部ヤスらなきゃいけないのかと思うと、ブラックバニーがあんなに早くできたのも分かろうというもの。キットは湾岸戦争当時のスタンダードの搭載兵器がセットされていますが、ここは一歩進めて、ハセガワのウェポンセットからGBU-16を加えます。これで、レーザー誘導、IR誘導、TV画像誘導と揃いぶみ。これを1人で1ソーティの内に扱うんだから、ウォートホッグのパイロットはタイヘンだ。

2006.06.20

イラク派遣の陸自、撤退決定

気になりニュースをメモ。
イラク派遣の陸自、撤退決定
政府は20日、安全保障会議を開き、イラク南部サマワに駐留する陸上自衛隊の撤退を決定した。
自分などが言うまでもないですが、家に帰るまでがナントカ、とよく言います。首相の総括コメントはまだ早い。

小樽市長、キティホーク寄港受け入れを表明
7/1~5に小樽港へ寄港を予定しているキティホークについて、小樽市長が受け入れを表明した。
ようやくキティホークの入港決定。一般公開の日に雨が降りませんように。

最近おもしろかったマンガ 060619

日通のペリカン便で配達されるAmazon便だが、朝一番で配達されたり、今日などは夜間配達状態だったり、時間がまちまちなのだが、どういう配達ルート組んでるんだ?ペリカン便は?
というわけで、本日の配達分。
絶対可憐チルドレン 5 (5)
超能力少女たちの戦いも、ようやくメインの敵が確定したみたい。GS美神のごとく、ドンドンと盛り上がっていけるか?

ハヤテのごとく! 7 (7)
執事とお嬢様のラブコメも絶好調。正統派ラブコメを演出しつつ、マニアックなパロディネタにクスっとさせる作者の手腕はなかなかだと思う。

さよなら絶望先生 4 (4)
とことんまでシニカルに突っ走り続けるこの作品、ついに政治までネタにしてきた。レベルたけー。

この3巻を注文後、Amazonのギフト券メールが届く。タイミング悪すぎる。おかげでまた余計な買い物をしそうだ。

2006.06.19

「検証・チャレンジャー事故」を見た

Amazonからの荷物を待ちつつ、録画しておいたBS海外ドキュメンタリー「検証・チャレンジャー事故」を見る。事実に基づいた再現ドラマとインタビューに基づいて構成されている。
事故の1986年当時はただただ衝撃的だったが、もう人災といっていいほどの事故の実際に改めて愕然とする。
経営のために、エンジニアの意見を無視するロケット製造会社の経営陣。マスコミへのイメージを高めるため、とにかく打ち上げスケジュールを優先するNASA幹部たち。打ち上げ続行を決定する会議は葬送の前奏曲に等しかった。そして事故は起きる。
当時、シャトルは100回の打ち上げに耐える夢の宇宙往還機であった。だが実際には不具合の多い開発途上にある機体であり、NASAがイメージを刷り込んだようなシロモノではなかった。事故原因となったSRBのOリングの焼損は、多くの問題の1つでしかなかった。Oリングの問題が、多数の問題の中の1つとして無視されてもおかしい状況ではなかったのかも知れない。
スペースシャトル・オービターは軍の衛星を積むことも考慮され、大型化された。数段の円筒を接合したSRBは、製造会社が内陸にあり、船舶輸送ができないからという、妥協の産物だった。どこかでシステムに対する優先順位を間違えたまま、シャトルは完成してしまった。
シャトルを批判するのは簡単だが、多くの後継機計画がツブれてきたことも、宇宙往還機としては、シャトルに勝るものがまだ建造できないことを証明していると思う。なんか1つの結論が出てこない。それくらいイロイロと考えさせられるドキュメンタリーであった。


mixiでこんなこと日記を書いたのだが、いまひとつ出なかった結論の一つが、このニュースを見てなんとなく分かった気がする。

ドイツ・ワールドカップの日本代表戦の午後3時スタートの試合が2試合もあるのは、TV局の都合

疲れだけが日本代表の足を引っ張っているとは思わないが、それでもマスコミ(正確には電通)の都合で不利になったのは確か。翻ってNASAも、マスコミの批判を避けるため、打ち上げスケジュールをゴリ押しした。マスコミの無責任な行動が、NASAの判断を迷わせる。だが、マスコミの世論形成なしでは予算も獲得できない。日本代表の潤沢な資金で強化できるのも、代表偏重のマスコミのおかげもある。民主主義ってムズカシイ。

参考;スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~書評

A-10A Day1st

のろかめくんの「TSR.2はどうした、ゴラァ」の声も聞こえてきますが「パイロンにいっぱいミサイル積みたい」という欲望に勝てず、ことみCONエントリーのイタレリ1/72のA-10A、いきます。
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現用機モデラーとしては、イタレリというと「最新鋭機はバシバシ発売してくれるのはいいけどイマイチ」みたいなイメージのメーカーですが、このA-10Aは非常に素晴らしいキット。何も考えずにストレート組みなら3時間ぐらいでこうなります。
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ピタッと決まるA-10Aはこのぐらいにしといて、新製品をお試しコーナー。
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トライスターから発売されたシリウス ブラシエイドという筆洗い液です。ラッカー、アクリルなど何でも使え、筆を傷めない画期的な製品とのフレコミ。今日の作業で使ってみた感じをメモ。
透明で、ちょっとヌルヌルした液体。塗装後すぐに浸して、底面のボコボコで筆をゴシゴシすると、平筆からはバラバラと塗料が剥がれていき、面相筆だと、塗料が固まってポロっと取れる。それを最後に水洗いすると、確かに筆先はすっかりキレイに、さらにフサフサと筆先が蘇ったような感じ。
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使い込んだ柄と、キレイな筆先の対比で、その効果が分かります。そして、容器の中には剥げ落ちた塗料カスが残ります。
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確かにこれは画期的。ただし、塗料が固まってしまうと、取れにくくなってしまうみたい。それと、筆を水洗いするので、多色を塗り分ける連続作業では、使いどころに注意。オレのように何も考えず容器に筆を突っ込むと、ドライヤーで強制乾燥させなきゃいけなくなったりします(笑)。
ヒコーキモデラーだと「オレはほとんどの部品をエアブラシだぜ」という人も多いでしょうが、自分などは住宅事情により筆塗装も多いので、これは使えます。ぜひお試しあれ。

2006.06.18

陸自真駒内駐屯地祭りに行ってきた

すわテポドンの発射間近だとか、陸自がイラクから撤退とか話題が多い中、陸自11師団の根拠地、真駒内の記念行事に行ってきた。去年に引き続きの訪問。
89式IFVとか
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MLRSとか
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車両展示はお馴染みのメンツ。なので、個人的に気になったものをアップ。
まずは人命救助システムのツールの中から、クワガタの鋏たち。
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クルマのドア引っ剥がすときとかに使用するヤツね。さらに災害派遣関係のツールから、AED(自動体外式除細動器)の体験コーナー。
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おじさんが体験するのを見てたんだけど、案外と難しそう。一刻を争うときに使うものなので、なんらかの関係がある可能性のある方は説明書くらい読んでおいた方がいいかも。
次は陸自版のCOTS(民生品共用)の実例を2台。まずは野外洗濯セット2型。
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まんま家庭用全自動洗濯機。自衛隊御用達は日立の”白い約束”。隊員さんによると「水平でないと安全装置が働くので、脚で水平を出すのが難しい。素早い撤収のために強制排水装置を搭載」だそうで。12時間連続で回すとかで、まさにタフな日本のシロモノ家電のサンプル。次は野外入浴セット2型のノーリツ製の湯沸し機。
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アメリカ軍のコーラ、イギリス軍の紅茶と並び称されるぐらい?自衛隊に欠かせない入浴セットも民生品に支えられてます。
次は重トレーラーに搭載される74式戦車。
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観閲行進待ちのところを撮影。男の子はみんなトラック好き。戦車が載ってるだけなのに、普通のトレーラーがシブく見える。
最後は、訓練実演で、上空1800mからの空挺降下の着地場面。
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ちょいと風を読み間違えたのか、パラシュートが観閲席の中に。第1空挺の強者も”弘法も筆の誤り”か。
そんなこんなで記念行事は終了。今回の新装備は訓練展示に出てきた、地雷処理装置を搭載した96式装輪装甲車。ジミ~に装輪車両のファミリーが増えつつあるよう。さて、やっと暖かくなってきた北海道、次はどこに行こうかね。

2006.06.17

F-4S Complete

F-4SとF-4JのVX-4仕様機、完成しました。
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アメリカ海軍のVX-4"Evalutors"は戦闘機のシステム及び兵器評価試験をする部隊。70年代より耐腐食性塗料のブラックに塗装され、バニーマークを描いたF-4J"Vandy 1"はあまりにも有名。F-4Sはその伝統を受け継ぎ、ファントムⅡ時代の最後の機体となります。
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対称をなすようにホワイトに塗装されたF-4Jも同じくVX-4所属機。"Vandy5"が生まれた経緯については詳しく知らないのですが、妄想するに「オレは黒より白のレースが好きだ」という整備員がいたとか、そういうくだらない理由だとウレシイ(笑)。
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BlackBunny仕様のF-4Sはフジミの再販キット。1980年代はじめに、全面スジ彫りとフェイスハンドルカーテンの部品で鮮烈にデビューしたキット(自分的には)で、中学時代以来のリベンジになります。ハセガワのキットと比べると浅めのモールド、スカスカのコクピットと問題はありますが、最低限の修正にてストレート組み。塗装はクレオスのH157スーパーブラックを使用。デカールを貼った後、クリアー吹いてコンパウンドで仕上げ。グロスブラックは、シルバーと並んで表面処理の荒さがモロに出ます。キズ消しに手を抜いた下面は見せられません(笑)。
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WhiteBunny仕様のF-4Jは、諸事情により製作中断していたハセガワのF-4CをF-4Jにすべく工作してます。よってカンで取りつけたECMアンテナの位置がおかしいなどミスがチラホラ。こちらの塗料はガイアカラーのピュアホワイトを使用。エナメルのニュートラルグレイでスミを控えめに入れています。フジミのキットと比べると、リベット表現やキッチリしたスジ彫りにより、力強く見えます。うーん、イメージからするとホワイトとブラック、逆の方がよかったかも。
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この2機、デジカメをフルオートで撮影すると、ブラックバニーの方だけ強制ストロボ。放つ光量が段違いなんだと、ヘンなところに感心。VX-4は現在、攻撃機のシステム評価部隊VX-5と統合されてVX-9となり、バニーマークもセクハラにあたるということで、勇ましいけど平凡なマークに変更されてます。ちょいと残念。
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というわけでtoyさんのコメントより始まった「ふたりはプリキュアごっこ」企画、完結。作品のデキに不満が残るのはいつものことですが、今回、物足りないのはパイロンが開いていること。評価試験部隊なので満載もおかしいし、クリーンでいくことにしたのですが、やはり欲求不満。
というわけで、このままことみCONに突入でい!

2006.06.16

F-4S Day5th

久々に手が止まらねー、というテンションでチョコチョコと弄っていたVX-4のブラック&ホワイトのコンビ。デカール貼りまで終了。
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ブラックバニーの方は吹きっぱなし、ホワイトバニーの方はニュートラル・グレーで軽くスミ入れしてます。。フジミの取り説には主翼の交換だけで簡単にSからJへコンバートと書いてあるんですが、アンテナ類もJの標準的な状態になるよう追加したりしてます。
フジミの塗装図およびデカールがヒジョーに中途半端で頼りにならないため、ジャンク箱入りしていたアメリカ海軍のデカールを引っぱり出して国籍マークやコーション・マークを援助物資として使用。それでも、あんまり正確さに自身がないので、細かいツッコミは勘弁してください。
週末には仕上げられますかね。

2006.06.14

書評<戦後日本の戦車開発史>

戦後日本の戦車開発史―特車から90式戦車へ
林 磐男
PANZER誌に連載された、三菱重工の装軌車両開発者の回想録。戦後開発された陸自の装軌車両のほとんどに関わってきた著者が、シャーシ開発を中心に戦後からの歩みを語る。
著者の回想は戦後、進駐軍の車両整備に携わることから始まる。システマチックな部品供給体制や先進的なギアやサスペンションに驚愕を受ける日々。その技術を模倣し貪欲に学び、現在まで続く技術の基礎を築く。そして時代は朝鮮戦争特需から自衛隊設立へ、そして装甲車両の自主開発も始まる。エンジン、トランスミッション、シャーシにいたるまで、辛酸を舐めながら開発を続け、90式戦車に至り世界の最先端技術に追いつくことになる。
三菱の装軌車両の開発の歴史が、日本の自動車産業の歴史と重なることは偶然ではないだろう。
その歴史のなかで、著者はいくつかの問題点を指摘する。ユーザーが陸自だけ、予算も限られた中で小松製作所をライバルとした競争試作は無駄ではなかったか。自主開発にこだわるあまり、海外の技術情報に疎く、また自分たちの持つ情報もまた秘匿し、あまりに孤立した中での開発ではなかったか。そして何よりもはっきりとした国防指針がない中で、総花的な開発目標しかないために、実戦においては非現実的な兵器開発がまかり通っていなかったか。74式戦車まで、「満州には水がない」と戦前からのこだわりからエンジンは非主流の空冷ディーゼルであったり、アメリカが2次大戦時に開発したM24で実現していたオートマが、90式戦車でようやく実装されたといった事例はその証左であろう。
サスペンションやトランスミッションといった、金属特性の基礎から研究の必要な分野の技術開発の困難さが理解できる1冊である。

初版2005/11 光人社/光人社NF文庫

2006.06.13

今日のお買い物 060612

朝のワイドショーで故郷の広島県呉市で殺人事件が起きたとの話題。被害者の女性が高校の同級生と同じ名前で、半分寝ていた頭が覚醒する。結局、年齢が1つ違いで別人だったのだが、あの狭い街でそんなことがあるのね。
そんなことに関係なく、本日のお買い物。
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フジミの傑作、1/72ブリティッシュ・ファントムの再販分。ブラック・テイルが粋なPHANTOM FG.1”111SQ”と、ラスト・ブリティッシュ・ファントムであるPHANTOM FGR.2。いずれもカルトグラフがセット。それがですね、国産モデルで久々に入手に苦労しましたよ。6/9メーカー発送だったのですが、ブリティッシュ・ファントムなんぞ2~3日でなくなったりはしないだろう、と油断していたら、札幌市内4店で売り切れ、普段は行きつけない某店でようやく入手。いやー、ファントム好きが多いのか、蛇の目好きが多いのか。ビックリした。狙ってらっしゃる方がいたら、急いだ方がいいかも。

2006.06.12

F-4S Day4th

本日、コンビニに行くとですとですね、「清楚OLの白と黒のみだらな高級○○」とサブタイトルがついたとある雑誌があって、鋭意製作中のブラック&ホワイトバニーの参考用に思わず手に取りそうになりました。
そんなことはどうでもよく、進行中のVX-4コンビ。
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前回の記事のKWATさんのコメント「主翼上面のバルジがないだろうがゴルァ」という指摘を読む前に白と黒を吹いちゃってまして、この後に修正してます。
ただ白と黒を吹くだけじゃツマンナイので、ホワイトはガイアカラーのピュアホワイト、ブラックはクレオスのH157スーパーブラックを使っています。ショップの人によると、ガイアカラーはちょいと薄めにするのがポイントとか。隠ぺい力は確かにクレオスのホワイトより良好。だけど”ピュア”ってほどではないかも。スーパーブラックはカーモデル用ですが、確かにツヤはいいんだけど製品の個体差か、やや濃厚な感じなのでこれも薄めがいいかも。しかし、ブラックも下地処理のいい加減さがよく出るなあ。などなど、いろいろと反省の多い今日一日。

2006.06.11

F-4S Day3rd

各所でポルシェ祭りが盛り上がっている。「なんでも作れる人はいいなあ」などと思いつつ、でもちょっと寂しかったので「そうだ!大通りの日産ギャラリーにR390があったはず」と見に行くと、巡回展示だったらしく影も形もなし。ギャラリーのおねーさんに、新型プレサージュの説明を受けて帰ってきました。おねーさんの白いスーツが眩しかった・・・って何をしに行ったんだオレは。
それでもって、VX-4のブラックandホワイトバニーの同時進行はサフ吹きまで進行。
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左がフジミ製F-4S、右がハセガワ製F-4C改F-4J。フジミのキットをハセガワに近づけるにはリベットをチクチクと打つのが見た目上、一番ですが、メンドーなので排気口周りに限定。ハセガワの方はECMアンテナやパイロンを他のキットから持ってきて海軍仕様にしてます。今回はツヤ有りの塗装でいくので、塗装工程をさんざん悩んだ末、排気口周りを先に塗装し、半ツヤクリアーで保護した後でマスキング、その後に全体塗装します。おかげで、今日はマスキングテープばっかり貼ってたような気が(笑)。早くホワイト&ブラックにしたいよー。

2006.06.10

F-15Kが墜落・続報

あいかわらずF-15Kで検索されて辿り着かれる方が多いので、続報をメモ。

F-15K墜落の原因究明は長期化の見通し
空軍側は墜落の原因として、パーティゴや高G機動によるブラック・アウトの可能性を探っているらしいが、F-15Kの膨大な整備マニュアルのハングル翻訳本がない状況で、整備ミスの可能性も一部で提起されているそうだ。

一方で、市民団体がF-15K導入計画の白紙撤回を訴えるなんてニュースも。リンク先の翻訳が正しければ「新戦闘機選定はラファールの方が得点が高かった→しかしアメリカの圧力でF-15Kになった→なのにF-15K墜落→F-15Kは欠陥機、ボーイングを訴えろ」とワケ分からない連想で反アメリカキャンペーンになっている。市民団体なんてのは、どこの国も一緒っすね。

ついでに韓国ミリタリー関係ではこんなニュースも。
先日、国防科学研究所が開発した無人軍事用ビーグル(UMV)が公開されたが、海外からの視察員も招いた公開試験にて、”軍事用”にもかかわらず”雨天にて試験中止”したばかりか、さらに屋内で実施した遠隔カメラ操作のデモも作動しなかったそうである。まだ研究段階のUMVを晒しモノにしなくて良かったろうに。ところで、2ちゃんねるの当該スレによると「カナダ製の水陸両用レジャー用ビーグル"Argo"にフタしたのに、防水性がなくなってどーするよ」とカキコがあるんだけど、みなさんどう思います?うーん、ビーグルそのものじゃなくてコントロール装置や搭載機器が開発分野と言われれば、まあ、そうなんだけど。

カナダ製の水陸両用レジャー用ビーグル"Argo"
Argo801
韓国製UMV
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F-15Kが墜落

久しぶりにアクセス解析をチェックすると、F-15Kが検索ワードとして断トツトップ。2~3日、チェックしてなかった2ちゃんねるの東アジアニュースをのぞいて見る。すると、6月7日に導入されたばかりのF-15Kが墜落し、パイロット2名も死亡したというニュース。なるほど、このせいか。
平時とはいえ軍用機、まして戦闘機の損失はゼロにはならないとはいうものの、導入されたばかりの新戦闘機にいきなり墜落の憂き目にあってしまったのでは、韓国空軍自体もショックだろう。韓国空軍にとっては新戦闘機だが、母体となるF-15Eは既に十分に実戦経験も積んでいるので、墜落した機体自体ははともかく、導入計画が反故になってしまうような機材の欠陥はないと思われる。SLAM-ERが使えないとかいう話も解決したのか伝わってきてないし、どうもF-15K、ツイてない。
我が自衛隊もヘリコプターを中心に新機種導入が目白押しだ。ここは一つ、この事故を他山の石として慎重なテストをお願いします。

2006.06.08

書評<涼宮ハルヒの憂鬱>

涼宮ハルヒの憂鬱
涼宮ハルヒの溜息
涼宮ハルヒの退屈
涼宮ハルヒの消失
涼宮ハルヒの暴走
涼宮ハルヒの動揺
涼宮ハルヒの陰謀
涼宮ハルヒの憤慨
谷川 流
神がかりてきなアニメのデキから、それに引かれるようにオタク界にムーブメントを起こしつつある<涼宮ハルヒ>の原作となるライトノベル。試しに1冊、と手に取ったのが運のつき。おもしろかったのでシリーズをついつい購入してしまった。
自分では気づいていないが、世界を変える力を持つ少女である涼宮ハルヒ。”偶然”同じ教室で彼女の前の席になった”オレ”は、彼女を監視するために現れた宇宙人、未来人、超能力者の同級生とともに非日常・日常入り混じった日々を駆け抜ける、といったストーリー。
1人称で進むストーリーは比喩の言い回しがやや鼻につくものの、素直に感情移入できるし、世界観も高校のイベントごとに騒ぎが起きることを必然になるよう設定してあるので物語に不自然さはない。”萌え”の要素も含めてキャラクター設定も絶妙に配置されていると思う。そこにミステリーやタイム・パラドックスといったセンスを盛り込み、シリーズ全体を通して飽きずに読める。シリーズを通して読むと、登場人物たちの成長、立ち位置の微妙な変化もイイ味。ちなみに8巻で物語進行が約1年。かなり詰め込んでいるが、次巻以降、展開に変更があるのか?楽しみである。

シリーズ初版2003/06 角川書店/角川スニーカー文庫

2006.06.07

書評<補給戦>

補給戦―何が勝敗を決定するのか SUPPLYING WAR
マーチン・ファン・クレフェルト Martin van Creveid
BARSERGAさん推奨。
”プロは兵站を語り、アマチュアは戦略を語る”とはよく言われることだが、では実際の補給戦とはどんなものなのか?本書は18世紀の諸侯たちの戦争から第2次世界大戦まで、ヨーロッパの戦場において兵站の実際を調べ上げた力作である。
自分は戦史に疎いので、著者が批判するあまたの研究家が広めた固定概念とは無縁のつもりだったが、それでも本書が具体的な数字を挙げながら導く結論には目からウロコが落ちる。
例えば徒歩と馬と馬車が移動手段の18世紀の戦争においては、兵士の食料は現地調達が基本であり、補給に手間取りそうなイメージのある進撃よりも、包囲戦の方が兵站面において苦境に陥ること。
ナポレオンは戦争を変えた英雄だが、その補給手法は前時代の戦争と同じ手段に依っていたこと。
第1次大戦時、ドイツの鉄道線が野戦軍の進撃を制約していたこと。
第2次大戦時、ドイツは電撃戦などから自動車化のイメージが強いが、補給体制はまったく整っていなかったこと。連合軍のノルマンディ上陸作戦<オーヴァー・ロード>は調和ある補給体制を目指すあまり作戦が消極的になっていたこと。
これらの結論が、可能な限り正確な資料を精査し、計算することによって証明される。個人的に印象に残るのは、駅や港湾の荷捌き能力に戦争そのものが強く制約されることだ。”兵站線”を守れても、大量の荷が捌けなければ意味がない。このへんの能力は、現代ではアメリカ4軍だけが実際の戦争を戦えるだけのものを持っているといえる。
本書の著者は、他にも「戦争は政治の延長」といった常識を覆す著作もあるそうだ。翻訳を強く望む。

原書刊行/1977 再販初版/2006/05 中央公論新社/中公文庫BIBLIO

2006.06.06

書評<ウェブ進化論>

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫
今、ネットの世界の最前線で何が生み出され、どんなことが進行中であるのか。グーグルやロング・テール、ブログなどキーワードを軸に解き明かしていく。言わずと知れたベストセラーである。
グーグル・マップという破天荒なサービスや、アマゾンのロングテール理論に乗っかったビジネスには確かに恩恵を受けている。だが、本書に関する書評をいくつか先に読んだせいか、根っから自分が本書が説く思想の柱であるオプティミズム(楽天主義)ではなくペシミスト(悲観主義)であるからか、本書全体では多少の違和感が残る。以下、箇条書きで3つほど。
・まず、グーグルあるいはシリコンバレーを過大評価しているのではないかということ。中国語版グーグルは中国政府による規制がかかるそうだ。世界の情報をすべて集め、再構築するという、グーグルの高い理想が霞む。
・現在、グーグルやアマゾンの政策に対して対立軸にある著作権その他の摩擦に関して、問題点は指摘されているものの、なんら解決策は示されていないこと。
・「不特定多数は衆愚」という思考停止するな、と著者はいう。大衆が愚かなんてことははじめっから思わない。だが悪意がある人間は確実にいる。
このくらいが代表的なところである。著者は”若い力”に期待しているようだが、パソコンメインの30代前半と、ケータイメインの20代前半とは、まったく別のネット文化が既に築かれつつあるように思うのだが。

ところで、じつは今これを書いているのは、とある施設で「中小企業の営業リーダーのための研修」の講義を受けた直後だ。そこで講義される経営・分析理論は、本書で展開されるウェブ・ビジネスの新しい取り組みとはまるで逆だ。本書で紹介される理論が広く適用される日がくるか、先鋭のままで終わるか。確かにオビにあるとおり、これは現在進行形の現実であると思う。

初版/2006/01 筑摩書房/ちくま新書

2006.06.05

勤務中にブログ書き込み、職員を懲戒処分

愛媛県は5日、勤務時間中に職場の公用パソコンを使い自分のブログに書き込みなどをしていた男性職員を、職務専念義務違反で戒告の懲戒処分にしたと発表した。

趣味で開いているアウトドア情報交換などのブログを61回更新したほか、コメント作成やリンク先への書き込みを重ねていた。

えーっと、一言だけ。人のことは言えませんが、みなさん、気をつけましょうね。

書評<イラストでよむハイテク兵器の物理学>

イラストでよむハイテク兵器の物理学
(財)防衛技術協会・編
中学までは特別、数学が不得意ではなかった。だが高校に進むと、成績に科目でドンと差がつくようになる。理系科目の中でも、特に物理はひどかった。生物は今でも進化論と遺伝学がライフワークの1つだし、化学もCFRPやカーボンの構造ぐらいは理解できる。だが物理は別だ。代数幾可と物理の理解できなさはオレの人生を決定づけた。
だがミリオタであるかぎり、物理がついて回る。だいたい、ヒコーキが飛ぶこと自体が”ベルヌーイの定理”に沿ってるらしいからしょうがない。なので、今も世の物理法則を理解すべく、悲しい努力を続けている。
そこで購入したのが本書。お堅い解説と、お気楽なイラストのアンバランスがシュールな、防衛技術協会提供の本シリーズは、テーマが物理学になってもその形式は変わらない。
本書では船舶では造波抵抗、航空機ではヘリの歳差運動といった基本どころから、成型炸薬や赤外線関係といった現代の兵器を支える定番の理論、電磁砲やレーザー(光波理論)といった研究が進む未来兵器まで、全般的に取り扱っている。もちろん、理論の表面をなぞっているだけではあるが、それでも現代兵器がどんな物理法則に支えられ、どんな理論を形成しつつあるのかが分かる・・・気がする。そしてその理論を達成するためにブレイクスルーしなければならない技術が解説されている。
ただあの兵器がスゴい、というだけではなく、その理論の基礎ぐらいは理解したい方はどうぞ。

初版2006/03 日刊工業新聞社/単行本

2006.06.04

F-4S Day2nd

あれはまだ札幌が冬の真っ只中にあったとき。内地からエライ人が来て、得意先巡回をしていたときの世間話。
WB「娘さんに土産は何買って帰るんスか?」
エライ人「まだ小さいから、札幌から何買って帰っても分かんないよ。どこかで<ふたりはプリキュア>グッズでも買って帰るよ」
WB「そういや一昨日が最終回でしたもんね。燃えましたよねー。あれだけイイと、新シリーズはプレッシャーかかりますね」
エライ人「WB、何で見てんの?オタクだとは知ってたけどそこまでとは・・・」
WB「いや、たまたまTVつけたらやってて、いや決して毎回見てたわけではなくゴニョゴニョ・・・」
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toyさんにコメントをもらって思い出したのはこんな話。さらに諸般の事情から作業中断していたハセガワのF-4Cがダンボールの奥に眠っていたのを思い出し、マーブルスクリューに向けて同時進行を決意。F-4CからF-4Jに戻すべく、機首のIRセンサーを撤去し、ブライドル・ケーブル接続用の部品に交換し、アンテナ類を見直して、パイロンとメインギアは海軍用をどこかから持ってこないと・・・って、けっこう手間だなこりゃ。でもガイアカラーのホワイトも買ってきたし、もう元には戻れない。
ところで、いくら画像を探してもホワイトバニーが見つからないんですけど、エアインティークサイドのECMアンテナがついてたんでしょうか?ついてたんなら先端までホワイトだったんでしょうか。どなたかご存知でしたらコメントください。

2006.06.01

書評<本当の潜水艦の戦い方>

本当の潜水艦の戦い方―優れた用兵者が操る特異な艦種
中村 秀樹
kojii.netの中の人推奨。
元海自潜水艦艦長が語る、非常に厳しい旧日本海軍および海自の潜水艦部隊の批判と、最適な用法を記したのが本書である。
本書はまず、潜水艦の強点と弱点を定義する。いうまでもなく強点は隠密性であり、弱点は航続力・速度などである(原潜はこの限りではない)。
この定義を軸に、まず旧海軍の潜水艦の用法を検証する。太平洋戦争時の旧海軍の基本思想はいうまでもなく、艦隊決戦思想であった。このため、潜水艦建造・運用もその思想に拠っており、潜水艦の強点を生かすものにならなかった。むしろ机上の空論的な用法により、艦隊を自滅させることになる。著者はその原因をいくつもあげているが、民族性にまで話が及ぶと、ぐうの音も出ない。
さらに検証は海自に及ぶ。旧海軍は、事後に検証すれば固定化した思想が最大の敗因であるが、それでも根幹の思想はあった。海自にはその思想すらなく、ひたすらアメリカ海軍の追随であり、現実性のない訓練を重ね、行政機関と成り果てている、というのが著者の主張だ。海自全体がこの調子なのに、護衛艦隊や航空部隊と比べても低い位置にある潜水艦部隊は何を謂わんかや、である。著者の来歴からすればこそ、その言葉は重い。
本書を読むと暗澹たる気持ちになるが、それでも少しずつは改善が進んでいると信じたい。
自分は海自潜水艦隊の根拠地の1つ、呉近辺が故郷だが、フェリーや海岸から、黒い潜水艦が悠々と瀬戸内海を進むのを喜んで見ていた。それだって平時とはいえ、ステルス性を自ら放棄してたということである。海自が本気で潜水艦隊を運用する気なら、外洋に近い基地に移転していたはずだ。まずそこから問題だったわけである。

初版2006/05 光人社/NF文庫

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