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書評<本当の潜水艦の戦い方>

本当の潜水艦の戦い方―優れた用兵者が操る特異な艦種
中村 秀樹
kojii.netの中の人推奨。
元海自潜水艦艦長が語る、非常に厳しい旧日本海軍および海自の潜水艦部隊の批判と、最適な用法を記したのが本書である。
本書はまず、潜水艦の強点と弱点を定義する。いうまでもなく強点は隠密性であり、弱点は航続力・速度などである(原潜はこの限りではない)。
この定義を軸に、まず旧海軍の潜水艦の用法を検証する。太平洋戦争時の旧海軍の基本思想はいうまでもなく、艦隊決戦思想であった。このため、潜水艦建造・運用もその思想に拠っており、潜水艦の強点を生かすものにならなかった。むしろ机上の空論的な用法により、艦隊を自滅させることになる。著者はその原因をいくつもあげているが、民族性にまで話が及ぶと、ぐうの音も出ない。
さらに検証は海自に及ぶ。旧海軍は、事後に検証すれば固定化した思想が最大の敗因であるが、それでも根幹の思想はあった。海自にはその思想すらなく、ひたすらアメリカ海軍の追随であり、現実性のない訓練を重ね、行政機関と成り果てている、というのが著者の主張だ。海自全体がこの調子なのに、護衛艦隊や航空部隊と比べても低い位置にある潜水艦部隊は何を謂わんかや、である。著者の来歴からすればこそ、その言葉は重い。
本書を読むと暗澹たる気持ちになるが、それでも少しずつは改善が進んでいると信じたい。
自分は海自潜水艦隊の根拠地の1つ、呉近辺が故郷だが、フェリーや海岸から、黒い潜水艦が悠々と瀬戸内海を進むのを喜んで見ていた。それだって平時とはいえ、ステルス性を自ら放棄してたということである。海自が本気で潜水艦隊を運用する気なら、外洋に近い基地に移転していたはずだ。まずそこから問題だったわけである。

初版2006/05 光人社/NF文庫

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