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2006.07.24

書評<「植物」という不思議な生き方>

「植物」という不思議な生き方
蓮実 香祐
この地球の生物の一方の雄である植物たち。最近は我々自身の体である”内なる自然”の解明に向きがちだが、植物もまた自身の体を精緻に進化させている。本書は植物たちが生き残るために作り上げたメカニズムを、分かりやすい比喩を用いながら解説してくれる。
ある種の植物たちは効率よくエネルギーを生産するためにターボのような機構を備えているし、紅葉も、植物たちが生き残るための精緻なメカニズムだ。こうした例が多く紹介されている。
特に興味深いのは昆虫たちとの共生だ。動くことのできない植物たちは、子孫を残すために昆虫の習性をたくみに利用している。昆虫たちもまた、植物の進化に適応してきているのだろう。純粋に生物個体の数からいえば、地球の支配者は植物と昆虫であることも、納得である。
植物は本来なら全てのものを錆びつかせる死の元素である酸素を生み出し、地球環境を根本的に改変している。また、「風の谷のナウシカ」の舞台となる”瘴気の森”もあながち虚構ではない。こうした全体状況から、前述したメカニズムまで、植物がいかに進化した生物であるかを実感できる一冊である。

初版2005/09 PHP研究所/単行本

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