書評<宇宙へのパスポート(3)>
宇宙へのパスポート(3)
笹本 祐一 松浦 晋也
(BARSERGAさん)さん推奨
SF作家の笹本氏と航空宇宙関係に詳しいジャーナリスト、松浦晋也氏による、ロケット打ち上げの取材日記をまとめたもの。本書はその第3弾となり、おなじみJAXAの種子島および内之浦、果てはモスクワ、南米ギアナまで、ロケット打ち上げを追いかけて全世界を巡る。ただ単に打ち上げ施設の取材だけではなく、日本からの移動手段やトラブルまで事細かに記されており、異国での滞在・移動の困難さや、不確定なロケット打ち上げ取材のスケジューリングの難しさまで情報がギッシリ詰まっている。そして3巻まできて徐々に深まりつつあるのは、笹本氏の宇宙開発への憂慮だ。JAXA、あるいはJAXAがベッタリのNASAにしろ、政治が絡んでどうにも将来への展望が見えない。日記の合間に挟まれる、老舗のEUあるいは中国やインドといった新興国の宇宙開発の現状(松浦氏担当)を読むと、なおさらその思いは強い。ロケット打ち上げ現場の熱い想いや新たに立ち上がりつつある宇宙ビジネスと、そんな憂慮が交差する、良質な宇宙開発のレポートだ。
てゆうか、2巻読んでないまま3巻が発売されてたよ。すぐ注文しなきゃ(汗)。
初版2006/08 朝日ソノラマ/ソフトカバー
« 最近おもしろかったマンガ 060823 | Main | 「海猿」の海保と、「よみがえる空」の空自の宣伝効果 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
Comments