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2006.09.18

書評<アキハバラ@DEEP>

アキハバラ@DEEP
石田 衣良
とある人生相談サイトで、秋葉原に集うオタクたちと、コスプレ喫茶のアイドルが集い、ゆるいネットビジネスを始めた。彼らが革新的な検索エンジンを生み出したとき、同じくネットビジネスの巨大な企業が、彼らを狙い始める。彼らはひねくれたネット仲間たちの支援を背景に、巨大資本に戦いを挑む。

映画化されたのを機に文庫化されたので読んでみた。対人関係に難ありながら、特殊な才能を持つオタクたちを中心に据えた、アキバの”冒険小説”。確かにおもしろい。が、少し違和感があるので、ここからは個人的な感想をメモしておく。数年前に「池袋ウエストゲートパーク」を読んだときと今回の「アキハバラ@DEEP」の印象の違いと、宗田理「ぼくらの7日間戦争」を中学生のときに読んだときと高校生のときに再読したときの印象が似ていることに気づいた。中学のときの「ぼくらの七日間戦争」は”大人たちへの反抗”がリアルに感じられたが、高校のときは”おとぎ話”としか取れなかった。「池袋ウエストゲートパーク」も、自分の知らないはずの池袋の”リアル”が感じられたが、「アキハバラ@DEEP」は実在する”趣都”を舞台にした”おとぎ話”としか感じられない。「池袋~」が”暴力”というそんなに遠くない世界を描いていたからか、「アキハバラ~」が”才能あるオタク”という、どうにもリアルに感じられない主人公設定と”ちょっとSF”になっているからか。それとも、こちらの感性が下がっているのか。じゃあ、荒唐無稽なアニメはどうなのよ、と言われると、あれはあれでフィクションとして楽しめる。なまじ世界観が現実に近いだけ、”おとぎ話”が強調されているというか・・・。世界観設定は難しい。

初版2006/09 文藝春秋/文春文庫

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