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2006.09.26

書評<反西洋思想>

反西洋思想
I.ブルマ/A.マルガリート
”反西洋”というと、今やイスラム原理主義者の十八番だが、実際にはフランス革命以後、”自由”や”人権”という言葉が生まれて以後、現在は同じ西洋であるドイツやロシアにおいて、それらの啓蒙思想に対する反感から生まれた。それはやがてフランス革命以後の西洋を体言したアメリカへの、全世界的な規模での反感に繋がっている。本書では”反西洋”思想を「オクシデンタリズム」と名付け、その真相を探っていく。
本書では、オクシデンタリズムを西洋を象徴する<都市>や<英雄と商人>といったキーワードを設定し、その思想の成り立ちを探る。ドイツやロシア、日本やイスラムなど、全世界に広がるオクシデンタリズムを唱える学者たちの思想を紹介し、その主張を分析する。
オクシデンタリズムの根幹は、宗教や思想は違えど、人間にはもっと崇高な使命があるはずだ、という考えがあることだ。人間にとって「快適」であることに忠実なあまり、動物に成り下がる人間。”金”という偶像を崇拝し、人間が崇高な存在であるための戒律を忘れた社会。現代の合理主義と、オクシデンタリズムはあまりにかけ離れた思想だ。
近代合理主義への嫌悪、というと、その権化であるはずのアメリカの中でもファンダメンタリスト(キリスト教原理主義者)が力を持ちつつある。さらに昨今、キリスト教とイスラム教の対立が取りざたされる話題がいくつかある。現在の世界の混沌がいかに複雑なものか、本書は改めて感じさせてくれる。

初版2006/09 新潮社/新潮新書

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