書評<ニコチン・ウォーズ>
ニコチン・ウォーズ THANK YOU FOR SMOKING
クリストファー バックリー Christopher Buckley
ヒステリックに禁煙が叫ばれるアメリカ。ニックは”良識的な市民”の敵であるタバコ会社の意見を代弁するロビイスト団体の切れ者。論戦をハッタリで批判をかわしていく日々だったが、突然、誘拐されてニコチン・パッチで殺されかけたときから、陰謀に巻き込まれてピンチに陥る。
嫌煙派とタバコ会社の”戦争”をギャグを交えて描くフィクション。業界の利益誘導を仕事とするロビイストという”悪役”である主人公が、皮肉とハッタリで不利を覆していくのは痛快。個人的には、ニックの親友である”銃規制反対派”および”アルコール擁護派”のスポークスマンたちの”秘密の集会”の場面は、企業と”良識派の人々”に挟まれるロビイストたちの本音が出ていて秀逸だと思う。
ただし、ラストがハッピーエンド過ぎて納得いかないのが惜しい。
初版2006/09 東京創元社/創元推理文庫
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