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2006.11.30

書評<ゾウの耳はなぜ大きい?>

ゾウの耳はなぜ大きい?―「代謝エンジン」で読み解く生命の秩序と多様性
クリス・レイヴァース
動物は食物を摂取し、消化し、酸素と一緒に燃焼させて活動のためのエネルギーを得る。著者はこの過程を内燃機関に例え「代謝エンジン」として本書の中心に据える。そして、地球の動物がなぜ今のような世界を形成しているのかを解き明かしていく。
例えば我々哺乳類は温血動物である。それにより、高い瞬発力と持久力を維持している。その代わり、代謝エンジンのアイドリングの回転数を高く設定するため、多量のエネルギーを消費する。対して爬虫類は哺乳類のような持久力がない代わりに、エネルギー消費を低く抑えることができる。どちらが”高等”というのではなく、それぞれの特徴を最大限生かして生活テリトリーを確保し、子孫を残そうとしているのだ。
タイトルの「ゾウの耳はなぜ大きい?」というのは著者の解説の呼び水に過ぎない。エネルギーの生成と、それによって生まれる熱をどう処理するかによって、地球上の動物界の全体像を描き出すことに成功している。なぜ陸上を大型哺乳類が支配していて、淡水は大型爬虫類が支配しているかとか、当たり前すぎて疑問にも思わなかった動物界の秩序を理解できる1冊だ。

初版2002/07 早川書房/ハードカバー

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