書評<A君(17)の戦争>
新装版A君(17)の戦争1 まもるべきもの
豪屋 大介
(BAESERGAさん推奨)
いじめられっ子だが、怨念増幅装置も併せ持つ小野寺剛士は、魔族と人族が大戦争を繰り広げるファンタジー世界へ飛ばされてしまう。本人にとっては不本意ながら、戦争の才を見込まれて魔族の総帥となり、人族からの侵攻に対抗していく。
てんでバラバラの感想をいくつか抱いたので箇条書きで。
①基本的には、中世ヨーロッパをベースとした剣と魔法の世界に、現代戦の戦術(空挺奇襲、ネットワークを中心とした戦いなど)を持ち込むとどうなるか、不利を覆せるかというシュミレーションであると思う。その戦術がハマッたときの描写は爽快。
②長期連載のマンガの絵柄が変わっていくことはままあるが、ライトノベルも長期刊行のうちに作風が変わっていくんだなあ、と今さら気づく。当初、主人公の成長と戦争が等価で描かれていくが、巻が進むに従い、戦術に関する注釈が増えていき、そこに重点が置かれるようになる。ライトノベルとしてのバランスは5巻までぐらいがベストではないでしょうか。
③オタクへの強烈な”同族嫌悪”が目につく。たまになら自虐ギャグにもなろうが、これも巻が進むごとにしつこくなる。読者に媚びる必要もないが、あんまりクドイのも、ねえ。
当たり前だが、ライトノベルにも完結すべきタイミングがあると感じるシリーズでした。
最新刊9巻初版2006/01 富士見書房/富士見ファンタジア文庫
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