書評<私と月につき合って>
私と月につきあって
野尻 抱介
ソロモン宇宙協会の元女子高生宇宙飛行士チームの今回の任務は、月旅行のアシスト。フランスが実施する月の有人探査の地球軌道上のドッキングなどを支援するのが主任務だ。フランス側の宇宙飛行士も美少女たちなのだが、打ち上げ前からトラブルに次ぐトラブル。ついには軌道上で月への旅が中止になりかけるが、日本・フランス合同チームは月着陸を目指す。
アニメも放映間近の<ロケット・ガール>シリーズ第3弾。とりあえずの最終章は有人の月面探査だ。訓練中から月面からの帰還まで、これでもかというくらい降りかかるトラブルを、ときに知恵で、ときに度胸で乗り切っていく冒険物語だ。
今回はクローズアップされるのは、いつものように破天荒だが決して物理法則には逆らわない”リアル”な宇宙飛行と、それに”リーダーの資質”だ。フランスチームと日本チームのリーダーがぶつかり合いながら、宇宙飛行士たちのチームワークとリーダーシップとはどんなものかが示されているような気がする。
ちょっと気になるのはフランス側の登場人物たちの扱い。ライトノベルとはいえ、いかにもステレオタイプな感じは、フランス人に対してあまりに失礼ではなかろうか。
初版2007/01 富士見書房/富士見ファンタジア文庫
« 書評<ロケットボーイズ> | Main | 書評<やめたくても、やめられない!依存症の愉快な人たち> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
Comments