書評<おとぎの国の科学>
おとぎの国の科学
瀬名 秀明
「パラサイト・イブ」などのヒットを持つ著者のエッセイ集。ロボット・脳科学などを中心に、科学者でもあり、フィクションを書く小説家でもある著者のニュートラルな目線でのエッセイが綴られる。
エッセイということで、様々な短文が並ぶので、1つだけ”教養”というテーマについて感想を。
自分の場合、まったく文系で理系の科目は苦手なのだが、ミリオタでヒコーキマニアであれば物理その他は必須であり、なんとか理解するよう勉強してきたつもりだ。興味があることを1つ掘り下げれば、それは絶対に歴史・政治から化学・物理まですべてに横断する。それが教養というものだと思う。「文系だから分かんない」とか「文系に分かるように説明してくれ」などというのは傲慢な物言いだ。本書で著者の科学に対する真摯な姿勢を感じ、とみにそう思う。
著者にはフィクションでありながら、知識の血となり肉となる小説を書き続けてほしい。同じ押井守カントク信者として(笑)。
初版2006/09 晶文社/ハードカバー
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