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書評<スポーツと国力>

スポーツと国力―巨人はなぜ勝てない
大坪 正則
アメリカのメジャーリーグと日本のプロ野球、プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラとJリーグ。比べるのも酷なほど、その経営規模は格段に差がある。本書はその差がどこから生まれるかを解説する。プロスポーツをビジネスの視点から捉えたものであり、タイトルと内容は少し離れているが、それなりに興味深い本である。
戦力均衡を徹底しているMLB、NFLといったアメリカのプロスポーツ、自由競争を前提とするヨーロッパ各国のサッカーのプロリーグの歴史と構造を解説する。その対極的な構造と歴史的経緯は興味深い。
対してプロ野球とJリーグ。プロ野球はその成立の歴史的経緯から、中央集権でもない、自由競争でもないいびつな構造が際立つ。最終責任者がどこにもいない、その不思議な組織では、いつまでたっても”危機的な状況”からは脱することはできないだろう。Jリーグの方は、その地域密着の理念はしっかりしているものの、それゆえ利益が分散し、市場規模が大きくならない。
自分が札幌に住んで3年、バスケの世界大会があり、スキーの世界大会があったが、さっぱり盛り上がらなかった。盛り上がったのは日本ハムの日本一だが、それは継続するかは今だ疑問符。つきるところ、この日本ではスポーツへの関心が欧米各国に比べて全体的に薄く、スポーツそのものでビジネスが成り立ちにくいんだと思う。特に庶民ではなく裕福な方々において、優先順位が低い。それは教育によるものか、一時的に熱狂するがテンションが継続しない国民性か。GDPと人口がアメリカの1/2だから、スポーツ・ビジネスはやり方次第で広がる、と著者はまとめているが、さてそう楽観できるか?個人的には疑問だ。

初版2007/03  朝日新聞社出版局/新書 

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F-16C/D Day3rd

朝、例によってテレビをつけっぱにしてプラモ作ってると、北陸地方で大きな地震発生の一報。TBS、”飯島愛引退特番”を地震速報に優先しない常識はまだ残っていたらしい。YDCC方面はじめ、被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。
F-16は搭載兵器など製作。
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いずれもハセガワの武器セットより。Mk.84 2000lb GDLP(汎用低抵抗爆弾)はF-16A用。1980年のバビロン作戦のときの装備。GBU-10レーザー誘導爆弾とLANTIRNポッドはF-16Dに搭載。LANTIRNポッドはエアインティーク左側のAN/AAQ-13ナビゲーションポッドはパイロンなしで、右側のAN/AAQ-14ターゲティングポッドはセット付属の専用パイロンでフィットします。バビロン作戦から四半世紀、軍備更新をはかる経済的に豊かなシンガポールとはいえ、東南アジアにフルスペックのヴァイパーが供給されるとは、時代が変わったものです。


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F-16C/D Day2nd

本日は会社営業日。だがシンドイので有休にすることにしたのだが、会社の有休届けにある「事由」ってのに「なぜ休む理由まで書かなきゃなんない?」と今さら腹が立ち、「趣味のため」と書き込んでやったぜ。
なので本日は有休モデリング。
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左がハセガワのF-16D、右がフジミのF-16A。心なしか、というか確実にフジミのF-16の方が大きいです。ブレンデッド・ウイング・ボディも、心もちグラマーな感じ。F-18もハセガワよりフジミの方が逞しかったので、設計者のクセなんでしょうね。全体的な合いはやはりハセガワに一日の長。フジミのキットは主翼とコクピット周りに少し瞬着かパテが必要です。それと、ハセガワのF-16DJは翼端ランチャーを切り離して交換する手間が必要です。
そんでもって今回のハイライト、LoneStarさんが製作されたドーサルスパインと背中のCFTを仮組み。
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もちろん問題なくフィット。華奢なF-16が力強く変身。
ついでにフジミのF-16でテスト。
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こちらも案外にフィット。以前、ロッキード・マーチンからCFT背負った三菱F-2スーパー改が提案され、その筋で失笑を買ったが、案外イイと思うんだけどなあ。

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書評<マルドゥック・スクランブル>

マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮
マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼
マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気
冲方 丁
近未来。戦争によるテクノロジーの圧倒的な進化を下地に、戦後復興の熱気に溢れる都市、マルドゥック。少女娼婦バロットはパトロンに爆殺されかかれ、瀕死のところを、犯罪の証人保護を生業とする”事件屋”に救出される。その事件屋―元軍属のドクターとテクノロジーの産物である、金色のネズミの姿をした万能兵器―とともに、新たな力を手に入れたバロットは、自分を陥れたカジノのディーラー、シェルの犯罪を暴くことを決意する。

先週のベトナム往復の飛行時間13時間を、睡眠なく過ごした主な要因が本作。ここ数年の”SFベスト”であることは知っていたが、”ネズミ型の万能兵器”という設定にどうしても手が伸びなかった。だが、いざ読んでみると、その疾走感溢れる文章に引き込まれてしまった。
本作に引き込まれる要素は2つある。1つはアクションシーンとギャンブルシーン。グロテスクな描写に甘えず、撃つ者の怒りと撃たれる者の恐怖が伝わってくるアクションシーン。そして本作のメインともいえるギャンブルシーンは、ギャンブルには無縁の自分にも、繊細でありながら大胆、すべての能力を振り絞るそのシーンに、自分がそのテーブルについている感覚になる。
2つ目は”有用性の証明”というテーマ。戦後という時代、必要とされなくなった”意志を持つ兵器”と、恵まれない環境で育った娘が、自らの存在を証明するために戦う。過去のフラッシュバックを消し、現在の立ち位置を証明しようとしているのは、主人公の敵たちも同じだ。
エロ・グロと、著者の訴えたいテーマと、まるで海外SFの翻訳文のようなウィットなジョーク。著者が今まで吸収したものと、表現したいものがせめぎ合っている。そのギリギリのバランスが、本作の魅力だ。

初版2003/05  早川書房/ハヤカワ文庫JA

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F-16C/D Day1st

F-16D-Block50のパーツは揃ったが、迷彩塗装も練習したい。ということで、フジミとハセガワの1/72F-16C/Dファイティングファルコンの同時進行および作り比べをしていくことにします。
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どちらのキットも基本的にはシングルシートとダブルシートのコンバーチブルで、パーツ分割も似たようなもの。ハセガワのF-16D-Block50はエンジン変更及び任務変更のため、拡大されたエアインティークの別パーツとAGM-88 HARMなどがセットされています。
本日はコクピットのみ。
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左がハセガワ、右がフジミのコクピット。シートにはファインモールドのエッチングのシートベルトを奢ってます。形状とデカール再現の計器盤はハセガワの方が細かい再現。次の段階からはパーツが似通ってくるので、混同しないよう気をつけよう。


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書評<水はなんにも知らないよ>

水はなんにも知らないよ
左巻 健男
世の憎むべき商売の1つが”ニセ科学”を用いたものである。科学的な用語を意味なく用い、さも科学的な根拠を元に実験や製造されたモノを高額で売りつける。再現性実験も確固たる調査もない、誤った知識を大衆に植えつける。
そしてその代表格が水を巡るものだ。人間の生命の基本が水であるだけに、気をつかう人は多い。そこに詐欺師たちは群がる。どっかの大臣が”なんとか還元水”を売りつけられるぐらいなら、まだいい(税金なのでよくないが)。水に”気分”があると言ったようなアホなことを教育現場で教えるバカ教師がいるのだ。そんな現状を憂う著者が、そういった水を巡るニセ科学への反証が本書である。
そもそも、水がどんな元素からできていて、どんな特性を持っているか基本的なことを知っていれば、”ナノクラスター”だの”水素水”だのありえないことは分かるはず。本書はそのことが噛み砕いて説明してあるし、人体と水の関わりの基本から解説してある。アヤしげな健康食品やアヤしげな電磁治療器に列をなすお年寄りやオバチャンをよく見かけるが、そういった家族の無駄遣いに悩む方は、この本を読んでぜひとも説得材料に使ってほしい。
著者には、水に関する本書だけではなく、マイナスイオンとかその他諸々についても続編を出して欲しい。

初版2007/02 ディスカヴァー・トゥエンティワン/新書

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ネットの恩恵を受けるアナログ趣味

ヤフオクで落としたキットに、腕の立つモデラーさんが製作されたパーツを分けていただき取り付け、これまたヤフオクで落としたデカールを貼る。
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アジアで最強のヴァイパー、シンガポール空軍のF-16D(Block50,CFT搭載)の製作が、パーツのスクラッチやマーキングの手書きのスキルがないオレにもトライできる。ネットがあってホントに良かった。それとも、無間地獄にハマっているのか(笑)。

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ベトナムに行ってきた

木曜日(3/15)から日曜(3/18)まで、現地2泊、機中泊1泊にてベトナムに行ってきた。
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Kazuさんのmixiの日記へのコメントにてハノイに行ってきます、みたいなことを書いたのですが、政治には何の関係もない会社員が用事があるわけはなく、ホー・チ・ミン(旧サイゴン)の大勘違い。
ホー・チ・ミンに到着してまず感じたのは、ベトナムは”バイクの王国”であること。まー大量のバイクが無秩序なのか秩序があるのか分かりませんが、走り回ってます。オレたち観光客が乗るバスなんかは、度胸一発クラクション鳴らして無理やり割り込まないと、路上発進もできません。そしてカブを生み出したホンダへの信頼は絶大。
それと、ベトナム戦争の影響でとにかく年寄りがいない。30代までの人口構成比が60%なんだとか。我々が宿泊したホテルはサイゴン川沿いだったのですが、夜になると”若い人民”たちがビッシリと並んでイチャイチャ。国全体が成長と青春を謳歌してます。
個人的には共産主義の国ということで、結構気になっていたのですが・・・
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ときおりこんな風にプロパガンダがあるにはあるのですが、表向きにはまったくの東南アジアの商業都市。高層ビルはまだ外資の銀行とホテルぐらいしかありませんが、工事中のビルもたくさん。我々のツアーの本来の目的であるシンガポールと合弁の工業団地も、外資の工場の進出に造成が追いつかないそう。
ベトナムはもともとフランスの植民地で、建築物もヨーロッパ風が多い感じ。なかでも大きな教会とマリア像はその象徴ですね。
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「神様、ボクたちはなんて無力なんでしょう。」
「そんなことはないぞ。」
と真っ先にセリフが浮かんできたオレは、オタクの不信心者。
そしてミリオタが一番見たかった戦争証跡博物館。
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ミリオタが喜ぶような兵器博物館ではなく、アメリカがアジアの小国でどんな戦争をしたかを伝える博物館。広島人としては原爆資料館に近い感じでしょうか。なので野外の展示物も
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アメリカの航空機が落とした爆弾類や
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ある意味、ベトナム戦争の象徴の1つであるベルUH-1が悪の権化のごとく展示されてます。欧米からの観光客が写真展示をしげしげと見つめ、社会見学と思われるベトナムの中学生たちが戦争証跡を前にはしゃいでいるのは、フシギな光景でした。会社の同僚はアメリカの非道に憤っていましたが、ベトコンが民衆を盾に戦っていたことも指摘しておかないと公平ではないでしょう。
その他、食事も我々の口に合い、総じて日本人にとっては居心地のいい国ではないでしょうか。
ただ、通貨ドンの単位がやたら大きいのは勘弁して欲しい。お釣り計算が得意の日本人が、紙幣の束から店員のオネーサンに支払額を抜き取ってもらう屈辱(笑)は忘れられません。


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書評<イタリア・マフィア>

イタリア・マフィア
シルヴィオ・ピエルサンティ
イタリアの犯罪組織であるマフィア。シチリアがその発祥の地であり、イタリアからアメリカへの移民に伴って、その勢力を新大陸にも拡げた。多くの国の犯罪組織がそうであるようにマフィアは政府に深く食い込み、さらにバチカンの中枢にも深い関係を持つ。
このようなマフィアの実態を、組織の拡大と警察との”戦争”を中心に解説しているのが本書である。新書なので長き渡るファミリーの歴史を網羅しているとはもちろん言えないが、それでもその入門編として、非常に有用な1冊だ。
本書で印象に残ることは2つ。1つ目はW.W.Ⅱ前後のアメリカのなりふりかまわない”共産主義封じ込め”が、犯罪組織にも大きく影響していることだ。アメリカはW.W.Ⅱ終盤におけるイタリア上陸の際、マフィアの力を借りており、さらに共産主義勢力に対抗する力としてマフィアを利用し、マフィアはその後ろ盾を持って拡大していく。冷戦が終了してもなお禍根を残すアメリカのその政策のツケが、アフリカや中東だけでなく、先進国であるはずのイタリアにも残ったまま、なお国家に大きく影響を及ぼしている。
2つ目はマフィアと警察の戦争である。本書で描かれるマフィアの理不尽な暴力は、我々の想像を遥かに超える。日本の暴力団だと、少なくとも表立っては公権力に歯向かったりしないが、マフィアの口封じと報復はそんなことにはお構いなしだ。中南米あたりだと犯罪組織の暴力に屈して、公権力が腐っていくのがパターンだが、イタリアでは激しい暴力の後もなお、果敢に立ち向かう警察、検察官が現れる。ミリオタはイタリア人にある種の偏見を抱きがちだが、組織犯罪に立ち向かう”戦う男”はひたすら勇敢だ。
正直言ってマフィアに一種の憧れを抱くことも否定できない(カズなんてファッションテーマが”マフィア”だし)。だが、その容赦ない組織犯罪の一端を知ることができ、マフィアを通して宗教・地域格差などが複雑に絡み合うイタリアの一端をも垣間見せてくれる良書だ。

初版2007/03 筑摩書房/筑摩新書

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PHANTOM FGR.2 Completed

フジミ1/72 PHANTOM FGR.2、完成しました。
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PHANTOM FGR.2はF-4ファントムⅡのイギリス空軍バージョン。基本フレームはF-4Jですが、最大の特徴はエンジンをJ79からロールス・ロイスのスペイ・ターボファンに換装していること。そのため、空気流入量を増大させることが必要で、エアインティークの面積は20%増しになっています。また、導入後にレトロフィットされた垂直尾翼上端のRWRアンテナを納めたボックスも外観上の特徴です。
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当初は戦術攻撃を任務にしていたPHANTOM FGR.2ですが、ライトニングの引退と共に制空任務に就き、トーネードF.3に交代するまで、その任務を全うして引退しました。
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フジミのキットは全面スジ彫りの傑作キット。エアブレーキや補助インティーク、エルロンが別パーツ、キャノピーはワンピースと開状態の2種類、タイヤはゴムと、何の不満もありません。パーツの合いも良く、パテ盛りや大掛かりなサンディングは必要なし。もちろんストレート組みですが、垂直尾翼前端の2本のアンテナだけ、ファインモールドの金属部品に交換しています。
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塗装はフォークランドの防空に派遣された1435飛行隊を再現。垂直尾翼のホワイトテールがステキです。制空迷彩は下面クレオスのH332、上面H334、主翼内側がH335で指定されていますが、機体によってパターンの違いがあるようです。キットに付属のカルトグラフのデカールは秀逸。ですがホワイトのコーションマークが妙に目立つ気もします。
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とにかく、キットの優秀さばかりを感じる製作でした。ハセガワがどーにも頼りない今、フジミにはぜひともヒコーキに戻ってきてほしい、つくづくそう思います。
今年はフィンランド祭りから”多国籍”を意識してキットをロールアウトさせています。さて、次は何をいきましょうかね。


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PHANTOM FGR.2 Day6th

平岸の某文教堂のプラモの入荷数量は絶対におかしいと思う今日この頃。まあ、一軒で全部済ませるな、ということか。

ブリティッシュ・ファントムは現用機のハイライト、デカール貼り。
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久々にイヤになる量のコーション・マークです。空自レベルです。ただし、カルトグラフなので作業はラク。ソフターもセッターもほとんど使いませんでした。さすがです。
例によってトップコートを吹いた後にクリアーパーツを取り付けて、完成とします。

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PHANTOM FGR.2 Day5th

村上春樹翻訳のレイモンド・チャンドラー「ロング・グッドバイ」、ちょっと目を通してみたけど、そんなに変わるもんでもなかった(当たり前だけど)。ハードボイルドのバイブルとして、買うべきか買わざるべきか。
そんな悩みとは関係なく、ブリティッシュファントムはウォッシングと細かい塗装。
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エアブラシの圧が低くて、ちょっと塗面がザラザラ過ぎたため、ウォッシングは早めに拭き取り。でも、いつもより少しウェザリングは派手にしたい。いつもながら、そのバランスが難しい。さらに垂直尾翼だけツヤ有りのホワイトなので、どこまで汚すか迷うながらの作業。ここらへんは、独断しかないっすね。
さて、最後のデカールでトチらない様にしよう。

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書評<空の帝国 アメリカの20世紀>

空の帝国 アメリカの20世紀
生井 英考
アメリカは世界の空を支配する”帝国”である。軍事はいうまでもなく、民間においてもFAA(連邦航空局)の定めるルールが事実上、ワールド・スタンダードだ。いかにして、大国は世界の空を支配するに到達したか?本書はその歴史を追う。
その歴史は当然のことながら、キティホークの丘から始まる。ライト兄弟の世界初の動力飛行だ。その時代、アメリカは開拓時代の終わりを自覚し始めていた。ライト兄弟は次なるフロンティアとして空を目指す先駆けであった。
航空機はW.W.Ⅰをはさんで実用機として発展し、航空戦力がキーポイントとなるとともに、民間でも世界を繋ぐ航路が発展を始める。
と、ここまでは興味深い本なのだが、歴史がW.W.Ⅱを迎えるところぐらいから、物語がアメリカ空軍の戦略の変化が中心となってテーマが微妙にずれていき、9.11のころになると、アメリカという国の”気分”の話になる。つまり、本の主題がフラフラとして、ワンテーマの歴史書になっていないのである。高価な歴史書として発行されているのだから、これはいただけない。テーマの目のつけどころ自体は素晴らしいと思うのだが。

初版2006/11  講談社/ハードカバー

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書評<沈黙のフライバイ>

沈黙のフライバイ
野尻抱介
「ロケット・ガール」シリーズがアニメ化された著者のSF短編集。表題作など5編が収録されている。いずれの作品も「異星人とのコンタクト」といった大テーマではなく、あくまで現実の延長線にあると錯覚してしまいそうな作品ばかりである。例えば、作品に登場する軌道エレベータといったSFに定番のアイテムは、それに使われるカーボンナノチューブなど突破すべき技術の壁はあるのだが、それをまったく感じさせず、5年後にはありそうな感を抱いてしまうのは著者の腕であろう。それでいて曲げられない物理法則はキッチリと守り、それをうまくドラマに組み込んでいる。短編ゆえに登場人物も、強固な意志を秘めたいかにもなアストロノーツから、なんとなく身近にいそうな技術系女子大生まで、幅広く楽しめる。登場する技術的ガジェットから人間まで、バランスの取れた作品群である。

初版2007/02 早川書房/ハヤカワ文庫JA

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最近ちょっと期待のマンガ 070305

SFが読みたい! (2007年版)を買って以来、ちょっとSFづいている今日この頃。ちょうど都合よく、今後にちょっと期待のもてるSFマンガが刊行されたので、紹介。

ナチュン 1 (1)
左脳を失った天才数学者が撮影したイルカのビデオを見た主人公は、そこから人工知能開発のヒントとなるメッセージを受け取った(ような気になった?)。彼はさらなる研究のため、イルカの観察を目的に沖縄の離島に単身赴く。

いかにもSFな感じだが、1巻では都会の頭でっかちな青年と、沖縄のヒトクセある漁師のおじさんの交流が描かれるのみ、である。ただし、人物設定やときおり顔を出す”SF感”が妙に気になるマンガだ。アフタヌーン連載では物語が動き出しているみたいなので、楽しみにしよう。

宇宙家族ノベヤマ 1 (1)
宇宙からのメッセージを受け取った人類は、そこから恒星間旅行のためのテクノロジーを手に入れた。宇宙からのメッセージにはなぜか人類の"メッセンジャー”が指定され、メッセンジャーである日本の男の子とその家族が深宇宙探索に乗り出した。そして彼らは様々な文明を持った宇宙人と出会う。

ほのぼの絵なのに内容はハードSFという、岡崎二郎ワールド全開のマンガ。連載誌がビッグコミックだけあって、仕事命だった中年男の苦悩や家族の絆といった問題と、様々な目的を持った宇宙人とのすれ違い(あえて出会い、とは書かない)が並行して描かれる。メッセンジャーがどんな意味を持つのかなど、まだまだ伏線は明らかになっていないので、大風呂敷が拡がることに期待。

MOON LIGHT MILE 14 (14)
アメリカと中国が地球軌道と月の覇権を賭けて争う近未来。主人公・吾朗は国際的な駆け引きの中で、自分を突き通しながら極地へ挑んでいく。

こちらは、この春アニメ化されたSFアニメ。フロンティアへ挑む男と女の争いと友情、中国とアメリカのフロンティアを争う戦いを等価に描く。困難な宇宙開発と、宇宙を舞台にした国家と軍の駆け引きが混在しているのは、まさに今の地球軌道の状態であり、主人公も強固な意志を持ちながらもそれに振り回される。なのでエピソードによってはまったく主人公が登場しないこともあるが、現在は本筋に復帰している。今後の展開に期待。

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PHANTOM FGR.2 Day4th

昨日はJリーグの開幕日。地上波の中継は埼玉スタジアムでの浦和vs横浜FC。昨季の王者は6万人のサポーターをスタジアムに集める。今期よりJ1に昇格した横浜FCは、フリューゲルスの消滅によって生まれたクラブで、その監督は我がサポートチームであるサンフレッチェのエースでアジアの大砲だった高木琢也。時は流れる、とシミジミ。カズだけはあいかわらずだか(笑)。そんな15年目のJリーグを横目で見ながらパーティングラインを消して、サンディングで消えたスジ彫りを復活させた後、本日は朝イチからエアブラシ吹き。
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どの写真見ても汚れがひどくてバーリーグレー1色に見えるRAFの制空迷彩ですが、一応塗り分けがあります。塗装の順番はジェットノズル付近とホワイトテールの垂直尾翼を先に塗装。マスキングしてから下面をクレオスのH332で塗装。レドーム下面付近だけマスキングしてH334で上面を塗装。さらに主翼の内側をH335で塗り重ねます。説明書の塗装指示どおりですが、H335はもう少し明るく調色した方がよかったかも(もしくはH344を少し暗く調色するか)。ウォッシングで少しトーンの違いが抑えられることを祈りましょう。

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本日のお買い物番外編;「それゆけ!女性自衛官」

一部で”萌え萌え自衛隊”などと呼ばれているウイングバックですが、そんなバカを直撃するフィギュアが発売されました。ズバリ「それゆけ!女性自衛官」海自編です。Jウイングを読んでないので詳しいことは知りませんが、メーカーコラボだそうで、海自編は当然のごとく?艦船模型のピットロードからの発売です。あいにくと艦船模型がないので、現代の艦攻、F-2をバックに紹介しましょう。
まずは鹿島あさひ三等海尉。
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呉基地の練習艦隊<かしま>通信士という細かい設定。幹部さんですね。シリーズの中で一番フツーのアニメキャラ顔ではないでしょうか。
次は日向ちはや一等海士。
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おなじく呉基地の潜水艦救難艦<ちはや>運用科員。夏服で、芸の細かいハンドバックが別添。関係ないですが、大学のとき、この娘の髪と同じカラーのクルマに乗っていました。
次が長門佳乃二等海曹。
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佐世保基地の補給艦「おうみ」の航海科員。スポーティなジャンパー姿。マイフェイバリットっす。
次は春日楓二等海士。
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下総教育航空群の補給隊検査隊員かつカラーガード隊。いかにもな衣装ですが、もちろん実在。
最後はシークレット、涼波由良三島海曹。
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同じくカラーガード隊の衣装ですが、同封の写真を見るとリーダーの衣装みたい。シークレットということですが、顔の造型はちょっとヘンかな。

フィギュアはあんまり詳しくないので、デキの評価は見た人におまかせしますが、衣装や小道具の細部もそれなりに凝っています。
何が驚いたって、アソートから5つ買って、パッケージの全4種(細部の違いで9パターンあります)プラスシークレットが揃ったこと。また余計な運を使ってしまいました。


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書評<蹴る群れ>

蹴る群れ
木村 元彦
地球は”サッカーの惑星”だ。世界のあらゆる地域、例え争いがあろうとも、そこにはサッカーがある。それゆえ、サッカーは政治や経済と無縁ではいられない。サイモン・クーパーがいうところの「サッカーの敵」だ。
だが、その存在があるからこそサッカーは奥深く、ドラマが生まれるんだと思う。本書もまた、サッカーそのものではなく、サッカーに関わる人間たちの悲劇や熱情を追っている。
本書は3つのパートに分かれる。第1部はイラクやレバノンなど中東を中心として、戦争の影を背負いながらもサッカーに引かれていく者たちを追ったレポート。”スポーツと政治は無縁”などというのは戯言だが、それでもサッカーをやめられない庶民の力を信じたくなる。
第2部は日本サッカーの礎となった人たちのレポート。大分トリニータを”作った”男、戦後、まだサッカーが一般的でない時代から少年団を組織し、ついには専用グラウンドまで手にした男。彼らには敵も数多いが、目的のために一途に突き進む情熱は本物だ。
第3部は、サッカーにおいて、特殊なポジションであるGKのパーソナリティを探るレポート。歴史に現れた様々なエピソードを持つGKたちへのインタビューで導かれる言葉はやはり、他のフィールドプレーヤーたちとは随分と異なる印象を受ける。
我々日本人は、完成され最先端を突っ走るヨーロッパのサッカーに憧れるが、まだ基盤も弱く、未発展だからこそドラマと情熱に溢れる”サッカーの日常”を過ごせているのかもしれない。本書はそんなことを感じさせる。

初版2007/02 講談社/ソフトカバー

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中国のニミッツ級原寸大模型

今月(07/04)の航空ファンの記事で一番驚いたのは、イスラエルのラビのバッタもんJ-10ではなく、ニミッツ級の原寸大模型。どうしても信じられなくて、自分でもGoogleEarthで探してみた。
場所は上海の近郊。
Nimizzfar
そこをアップにすると・・・
Nimizznear
スゲー、ホントにあった。航空ファンでもいろいろ使用目的が推測されてたけど、やっぱり対艦攻撃目標なのかなあ。あるいは、衛星写真や偵察写真の分析官の訓練用だろうか。それにしても、ドンガラとはいえ300mを超える船体を内陸に浮かべるとは壮大だ。人民解放軍、やはり奥が深い。

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