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書評<イタリア・マフィア>

イタリア・マフィア
シルヴィオ・ピエルサンティ
イタリアの犯罪組織であるマフィア。シチリアがその発祥の地であり、イタリアからアメリカへの移民に伴って、その勢力を新大陸にも拡げた。多くの国の犯罪組織がそうであるようにマフィアは政府に深く食い込み、さらにバチカンの中枢にも深い関係を持つ。
このようなマフィアの実態を、組織の拡大と警察との”戦争”を中心に解説しているのが本書である。新書なので長き渡るファミリーの歴史を網羅しているとはもちろん言えないが、それでもその入門編として、非常に有用な1冊だ。
本書で印象に残ることは2つ。1つ目はW.W.Ⅱ前後のアメリカのなりふりかまわない”共産主義封じ込め”が、犯罪組織にも大きく影響していることだ。アメリカはW.W.Ⅱ終盤におけるイタリア上陸の際、マフィアの力を借りており、さらに共産主義勢力に対抗する力としてマフィアを利用し、マフィアはその後ろ盾を持って拡大していく。冷戦が終了してもなお禍根を残すアメリカのその政策のツケが、アフリカや中東だけでなく、先進国であるはずのイタリアにも残ったまま、なお国家に大きく影響を及ぼしている。
2つ目はマフィアと警察の戦争である。本書で描かれるマフィアの理不尽な暴力は、我々の想像を遥かに超える。日本の暴力団だと、少なくとも表立っては公権力に歯向かったりしないが、マフィアの口封じと報復はそんなことにはお構いなしだ。中南米あたりだと犯罪組織の暴力に屈して、公権力が腐っていくのがパターンだが、イタリアでは激しい暴力の後もなお、果敢に立ち向かう警察、検察官が現れる。ミリオタはイタリア人にある種の偏見を抱きがちだが、組織犯罪に立ち向かう”戦う男”はひたすら勇敢だ。
正直言ってマフィアに一種の憧れを抱くことも否定できない(カズなんてファッションテーマが”マフィア”だし)。だが、その容赦ない組織犯罪の一端を知ることができ、マフィアを通して宗教・地域格差などが複雑に絡み合うイタリアの一端をも垣間見せてくれる良書だ。

初版2007/03 筑摩書房/筑摩新書

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