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書評<人類最後のタブー>

人類最後のタブー―バイオテクノロジーが直面する生命倫理とは    challenging the nature
リー M.シルヴァー Lee.M.silver
生命倫理とバイオテクノロジーは相反するものであり、急激に発達しているようで、その実倫理的な面から研究に大きな制約がかけられている。アメリカの分子生物学者である著者の主張を一言でいうなら「この壁を突破するのに何のためらいがある?」という投げかけであろう。
アメリカは遺伝子改変植物が大幅に認可されていたりして、遺伝子をいじることに対する倫理観は低いように思えるが、キリスト教が深く根ざすかの国では、進化論学者や分子生物学者は自分の研究を常に保守派によって邪魔されている。本書は保守派に対する理論的な反論であり、攻撃であるといえる。また、ヨーロッパの過激な環境保護主義者たちの「母なる自然の保全」という主張は、キリスト教信仰の代替であり、それもまた矛盾に満ち溢れているというのが著者の主張である。
例えば、バイオテクノロジーというとごく最近の技術のようであるが、人類は古来からその技術を持っていた。現在、我々が通常食べている植物や家畜は、たいてい接ぎ木や異種交配などによって”改良”されている。その技術を進歩させて生物の源である胚の中の遺伝子を操作するのになぜ反対するのか?
例えば、遺伝子治療を経た出産と、自然分娩とどのくらいリスクが違うというのか?
これらを多くの例を交えて、バイオテクノロジーの発展の正当性を主張し、それによってこそ人類は正当な発展を遂げる、とまとめる。現に過去の人類学者が論じた”地球人口の限界”を超えても人類が繁栄しているのは、過去の”緑の革命”と呼ばれる品種改良を主とした農業の発展のおかげであり、さらにまた革命を起こしてこそ、人類は生き延びられる、と。
自分は常々、進化が突然変異によって起こるなら、”自分たちと違うもの”は病気にして排除してしまう可能性のあるホモサピエンスの次の進化の枝分かれはないのではないかと思っていた。本書の著者はこのことにも触れ、「すでに人類は自然の進化の道を外れ始めたのだから、そのデザインを環境を含めて自ら決める時がやがてくる」としている。著者の主張を傲慢とみるか、当然とみるか。バイオテクノロジーについての判断を下さなければならないときは、すぐそこまで来ているようである。

初版2007/03 日本放送出版協会/ハードカバー

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