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2007.04.04

書評<日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか>

日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか
星川 淳
我々ネットウヨクの敵の一つ、グリーンピースジャパン事務局長が書く現在の南氷洋での捕鯨事情の解説本。これだけで随分とバイアスがかかっている本にも思えるが、少なくともヒステリックに捕鯨反対を唱える本ではない。だが、「過激なシーシェパードと我々は違う」「捕鯨船に妨害船が体当たり、というニュースは、まるで事実が逆」という主張が見え隠れするのもまた事実。
本書はまず、捕鯨の歴史と現在、日本が行っている調査捕鯨の現状を紹介する。確かに、グリーンピースが”環境テロリスト”を地で行く存在とは知っていても、現在の調査捕鯨がほぼ官営の公共事業であること、”調査”なのに1000頭以上もクジラを捕っていることを意外と知らない。
現状を紹介した上で、著者はこう主張する。捕鯨継続の方向で日本が国際社会に対して突っ張るのは、クジラをさんざん捕り尽くした欧米に今になってゴチャゴチャと言われたくない、あるいは今一つうまくいかない日本外交の中で、数少ない主張を貫いている事例ということで、ナショナリズムを自己満足させているに過ぎない。捕鯨が日本の伝統文化というなら、南氷洋での大規模捕鯨を中止して、少数の沿岸捕鯨に限定すればいい、と。
だがこの主張に、当のグリーンピース自体が納得するのか?環境保護運動も、あそこまで行くともはやイデオロギーだ。逆に企業が投げ出した捕鯨の継続もまたイデオロギーに支えられている。純粋に経済的な問題ではなく、感情的な問題である方が解決が難しい、と思う今日この頃である。

初版2007/03 幻冬舎/幻冬舎新書

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