書評<反日マンガの世界>
食品会社のスチャラカセールスのオレだが、業界の専門知識以外の食に関する”ウンチク”はほぼ「美味しんぼ」「包丁人味平」「ミスター味っ子」由来。その中で「美味しんぼ」は、捕鯨問題で反アメリカ、日本酒醸造問題で反大手メーカーと、確かにメッセージはあるものの、イデオロギー的なものが自分には感じられなかったのは、まだ2ちゃんねるに触れる前だったからか?
んでこのムック、ありがちな特定アジアとそれにまつわるサヨクの人たちを批判するものと思ったら、極端な話、「美味しんぼ」原作者である雁屋哲の批判本だった。まあ確かに分析するとひどく偏った思想のもとにマンガ原作を書いているとは思うが、その掲載誌が「週刊金曜日」なる特定読者用の雑誌では、特定の思想を大衆に広めるべくマンガという手段を使う意味がない。
ムックで紹介されている「はだしのゲン」以外は、他のマンガも同じこと。マンガとして、書物として面白くなければ、読者に影響を与えることもない。ただ、ネットウヨクの笑いものになるだけ。批判や反論するまでの価値すらない。世のエラい人は、簡素でありながら高度な情報伝達手段であるマンガというもの自体のことを、もう少し考えた方がいい。”反日”どうこういうよりも、そのことを強く感じるムックだ。
初版2007/03 普遊社/ムック
« 書評<涼宮ハルヒの分裂> | Main | 書評<マルドゥック・ヴェロシティ> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
Comments
The comments to this entry are closed.
表紙しか見たことないんですが、「はだしのゲン」と「美味しんぼ」が同列に扱われているみたいで、手にもとりませんでした。
それこそ、沖縄戦に参加した大田昌秀さんと、その辺でぴーぴー言ってるプロ市民を同じようにとらえるようなもんじゃないか、って感じられて。
「はだしのゲン」などについては、どのように扱われていましたか?
Posted by: Hi-Low-Mix | 2007.04.02 21:18
>Hi-Low-Mixさん
はだしのゲンに関しては、むしろその表現のパワーを褒めているような感じでした。多数のコラムニストの批評を集めているので、そこらへんは温度差がありますね。
個人的には、はだしのゲンは子供のトラウマにはなるでしょうけど、サヨク的なものは感じなかったので批評の著者に同意です。
Posted by: ウイングバック | 2007.04.02 22:11