書評<ジョン平とぼくと>
ジョン平とぼくと
ジョン平とぼくと2 ジョン平と去っていった猫
大西科学
BARSERGAさん推奨
現実の我々に近い世界観ながら、魔法も存在する日常。魔法は科学に対して決して大きな力を持つものではないものの、使い魔と呼ばれる相棒たちが人間に寄り添って生きている世界。
魔法が苦手で科学の大好きな主人公の北見重は、使い魔である犬のジョン平とともに高校生活をおくっていた。彼が慕う化学の先生が退任、代理の女性教師が赴任し、ささやかな日常に変化が訪れるが、それはまた大きな事件との関わりのはじまりであった。
特別なところは何もなく、使い魔も目立った特殊能力を持たない(何らかの力があることは示唆される)、主人公と相棒が事件に巻き込まれ、解決へ努力する。そんな等身大のコンビがなんともホンワカとさせる。だがその実、事件とはまったく関係のないところで、少年にとっては心が痛む事実が明らかになったり(淡い初恋の終わりのなんと残酷なことよ)、ハッピーエンド一辺倒でないところがまたいい。16,17にしてはまだ幼さが残る主人公と、どこか間が抜けていながら、重要な場面では主人公を導く使い魔との信頼関係も暖かい。
主人公の父や幼馴染の家族の過去の物語、主人公とその使い魔の未知の能力と、まだまだ伏線がたっぷりと張り巡らしてあり、物語はまだまだ続く予感。期待しましょう。
初版2006/09および2006/12 ソフトバンクパブリッシング/GA文庫
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