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2007.05.06

書評<大仏破壊>

大仏破壊―ビンラディン、9・11へのプレリュード
高木 徹
9.11同時多発テロには、プレリュードともいえる事件があった。それがタリバンによる”バーミアンの大仏破壊”である。千年以上前に製作された世界の遺産の破壊は、その予告の段階から世界を震撼させたが、9.11同時多発テロが起こると、その衝撃に事件は消え失せ、”テロとの戦い”が続いている今では忘れ去られているのが現状だ。本書はタリバンの成立から大仏破壊までの過程を、その中心人物たちの動向を探り、明らかにしていく。

9.11同時多発テロの後、タリバンやアルカイダの関係、アルカイダの中でのビン・ラディンの力など、どの説を信じていいのか分からないくらい、様々な見解があった。本書はタリバンの指導者オマルとビン・ラディンとの邂逅により、歴史の歯車が回りだす過程を海外の著作に比べ比較的平易に理解できる。アルカイダは多数のセル(細胞)による、ピラミッドではない組織で、叩いても叩いてもキリはないとはよく言われるが、本書を読むとやはりアルカイダとはビン・ラディンだったのか、との感想を抱くが、それがたった1つの真実だと断定できないところが、この問題をアメリカにして「長き戦い」と言わしめているのであろう。
独裁者を倒してパンドラの箱を開けてしまったイラク情勢はともかくとして、アフガンもまた不安定の度合いが強まりつつなる。そもそもイスラム教の民族に”国家”なり”民主主義”なり”選挙”なりを押し付けることが正しいのか?本書を読むとそんな根本的な疑問を持つ。”西欧社会”の首脳の本音を聞いてみたいものである。

初版2007/04 文藝春秋/文春文庫

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