書評<ナ・バ・テア><ダウン・ツ・ヘヴン>
ナ・バ・テア
ダウン・ツ・ヘヴン
森 博嗣
キルドレと呼ばれる永遠の子供であり、凄腕のファイターパイロットであるクサナギ。転属した彼女は、同じく凄腕だが大人のパイロットと出会う。
押井守カントクの次回作の原作といわれる「スカイ・クロラ」の続編。時系列でいうと「ナ・バ・テア」「ダウン・ツ・ヘヴン」が「スカイ・クロラ」の前段になる、らしい。主人公の心象風景と、あくまで詩的な空戦風景で物語は進んでいく。永遠の子供として、記憶を操作されながらもなお生き残る”気持ち”と、自分が子供であり普通の大人とは違うと分かっているはずなのに抑えられない気持ち。それでもなお、空を飛べなけれな生きていけないパイロットとしての気持ち。本来、自分はこういう心象風景的な小説は苦手なのだが、なぜか続きが読みたいのは、著者のウデなのだろう。
押井カントクの「次は恋愛映画」との発言と「スカイ・クロラ」はいまいち結びつかなかったのだが、続編を読んでようやく納得。無理やり分類すれば「悲恋」で、いかにも押井カントク好み。感情と風景描写の組み合わせの妙を期待しましょう。
初版<ナ・バ・テア> 2005/11
<ダウン・ツ・ヘヴン> 2006/11 中央公論社/中公文庫
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