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書評<ヒトは食べられて進化した >


ドナ・ハート; ロバート W.サスマン

まず、本書を読んですぐ気づくのは欧米では広く「ヒトは他の動物あるいは同族を狩る残虐な肉食動物」という固定概念が根付いているらしい、ということである。原罪を説いたキリスト教的観念なのだが、個人的には「ヒトは知恵や社会で守られているが基本的に弱い哺乳類」という考えの方が日本人的だと思うのだが。
ともかく、本書はそうした人類が「狩るヒト」ではなく「狩られるヒト」であり、そのことから逃れる方法を探すことこそが進化につながったと主張する。そのことを化石や現生動物の観察記録などを通して詳細に分析する。
本書は化石記録などにより、我々の祖先が大型のネコ科動物、大型爬虫類、宙を舞う猛禽類など、様々な驚異に晒されていたことを証明する。もちろん、それには現生動物の観察も欠かせないが、せまい島国の地方都市在住では思いもよらないほど、人類には強敵が周囲にいることが分かる。
そのデータと、チンパンジーなど現生の類人猿の観察記録などにより「狩るヒト」論を引っくり返していく。それは同時に「狩るヒト」すなわち強者が進化の過程で生き残っていくのではなく、状況に適応した者が生き残るダーウィニズムの証明にもなる。
はじめに記したキリスト教的固定概念を覆すことが本論ではあるが、観察と継続的記録という地味な方法こそが生物学を支えていることも改めて実感させてくれる好著である。

初版2007/06 化学同人/ハードカバー

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