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2007.09.14

書評<スポーツニュースは恐い>


「スポーツニュースは恐い」というよりは、「スポーツ新聞や新聞のスポーツ欄は恐い」の方がタイトルとしては正解か。いわゆる旧来メディアが意識的・無意識的に振りまく価値観がどんなものかを分析している。主となるのは国家偏重や男尊女卑といった”保守派”の考え方であり、我々はそれに振り回されている、というのが著者の主張。
スポーツ新聞や新聞はおっさんが作るおっさんのためのものであって、おっさんの価値観がにじみ出るのは当然だと思うんだけどね。だけど、その浪花節を嫌う若者は新聞そのものを嫌い、ネットで自分の価値観にあった情報を拾う。だから新聞の購読部数は下がり続ける。個人の価値観が散乱しつつある今、著者のいう「メディア・リテラシー」はもっと高いレベルを目指すべきだと思う。
ただ、自分がおっさんに両足突っ込んでいて(当年35)、新聞の作り手の中核にも自分たちの世代がいるとは思うんだけど、アサヒは相変わらずアサヒだし、スポニチは相変わらずスポニチなんだよね。例えばアニメは確実に製作者が自分たちより上(富野および押井)、自分たちと同世代(ガイナックスおよびプロダクションIG)、自分たちより下(いまどきの萌えアニメ)という世代的価値観の違いを感じることができるけど、従来のマスコミはそれが感じられない。新聞社、というシステムが人を変えてしまうのかも、と思う今日この頃。

初版2007/09 日本放送出版協会/新書

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Comments

全く同感。私はその辺のおっさんとして、デイリースポーツを愛読しとります。
この本、NHK出版から出る辺りも、何となくわかるような気がします(笑)。

>kazuさん
この本、深読みが過ぎると思うんですよね。スポーツニュースが保守本流の体現だとすると、朝日新聞なんて極左新聞ですよ(笑)。

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