書評<怪魚ウモッカ格闘記>
著者は世界の知られざる地域を旅し、レポートする探検系の作家。UMA(未確認動物)好きならばモケーレ・ムベンベを探しにいった方で御馴染みだろう。本書は謎の巨大生物UMAなるメジャーサイトで見出されたUMA<ウモッカ>を発見するべく乗り出した著者の冒険記である。
と、言いたいところであるが。
先にオチを書いてしまうと、著者は現地にとある事情により、現地にたどり着けていない。本書はあくまでも、UMA探索のための準備と、著者の現地にたどり着けない焦燥を中心としたお話である。それでも「そのオチはなんだ」という読後の不満感は少なかった。それは名も知れぬ異国の地に名も知れぬ生物を発見するために旅立つ決意をし、準備を始めること自体から冒険は始まっている、ということなのだろう。著者の日常である非日常の連続を味わう。そういう作品である。
としたいところだが、個人的にはUMA探索本なのに現地にたどり着けていないハナシを連載し、単行本で出版できるというのも何か納得できないのも正直な感想である。
初版2007/09 集英社/集英社文庫
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