書評<電脳コイル1/2/3>
電脳コイル 2 (2) (TOKUMA NOVELS Edge) (TOKUMA NOVELS Edge)
電脳コイル 3 (3) (TOKUMA NOVELS Edge)
今よりちょっと先の未来の日本。巨大電脳関係企業の城下町である大黒市の子供たちは、電脳空間の存在を感じることができる「メガネ」をかけ、リアルと電脳空間を行き来していた。その大黒市に転校のためやってきた優子は、そこで様々な事件に巡り合う。
NHK教育で放映されている同名アニメのノベライズ。”電脳空間”などと言ってもサイバーな感じではなく、現在の技術の延長線上にあるバーチャルであり、決してヘビーではないのだが、そこに少し深刻な影を落とすストーリーを組み込み、味のある物語になっている。
ちょっと前に「天元突破グレンラガン」でノベライズの難しさにちょっと触れたが、こちらは成功の方に入ると思う。一応、アニメの登場人物とストーリーをなぞっているが、人物設定も物語の軸も少しずつ違う。オタク関係にはマンガ版とテレビ版のエヴァンゲリオンの違いというと分かりやすいかも(あくまで個人的主観なので、違うよ、と思われる方はご勘弁を)。物語は主人公や重要人物の1人称で進み、小説ならではの細かな心理描写を中心に描かれる。子供の純真な”キレイな”気持ちだけでなく、嫉妬や妬み、裏切りなどが描かれ、それが逆に子供たちの心理的な成長を感じさせてくれる。
続編は2008年1月発売。待ち遠しい。
初版2007 徳間書店/新書ノベルス
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