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2007.12.07

書評<MM9>

現代の我々の世界と少しだけ異なる世界。そこでは、怪獣が日本に上陸し、各地に被害をもたらしていた。気象庁は特異生物対策部を設置し、怪獣の研究・出現予報・対処計画の作成などを実施していた。今日もまた、怪獣目撃の知らせを受け、機動班が出撃する。

怪獣を台風あるいは地震になぞらえ、気象庁の職員との戦いを描くSF。
以下ネタバレ。


基本線としては現実世界とパラレル・ワールドの接点としての怪獣と、人間の意識についての関係がバックグラウンドにある、しごくマジメなSFである。人間が認識しているからこそ宇宙が存在し、人間が認識できない別の世界の存在として怪獣を捉えることにより、「人間原理」の考え方を優しく説明する解説書、といったところか。そして物語世界そのものが我々の世界のパラレルワールドであることを意識させ、並行宇宙の存在を認識させる。
一時期、「科学的に捉えれば身長50mの怪獣など、物理的に存在し得ない」みたいな理科本が流行したことがあったが、それに対する著者流の回答書であるといえよう。と学会で非科学的なことを唱える輩を笑いながらも、人知を超える存在もまた否定しない、著者らしいSFであると思う。

初版2007/11 東京創元社 /ソフトカバー

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