書評<導きの星>
導きの星〈2〉争いの地平 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
導きの星〈3〉災いの空 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
遠い未来、人類は銀河系1000光年の範囲にまで進出していた。それまでに人類が発見したETI(地球外生命体)はいずれも文明の発展具合は遅く、人類は不接触を原則としてETIの文明の発展の後押しをするオブザーバーを各惑星に送り出していた。
惑星オセアノに派遣されたオブザーバー、司はそれぞれ目的を持ったアンドロイドの少女たちとともに、現地の高等動物に干渉し、”平和的”に文明の発展を促そうとするが、失敗の連続で、結果としてオセアノは人類に似通った歴史を辿っていた。その失敗の影には、より大きな意志と力の干渉が隠されていた。
様々なテクノロジーを実現した人類による、文明育成シュミレーション小説かと思いきゃ、物理法則を超える力を持つ存在をチラつかせ、人格を持つアンドロイドたちの反乱を勃発させ、そして最後は星間戦争と、様々な面を持つSF。その中で主題としては”人類の落日のとき”になるのかな。科学技術の発展とその享受により、、自ら勢力圏を拡げる意思を失った人類。その人類を”文明育成シュミレーション”していたより高度な存在の意思を超えて、異星人との協力をもとに”滅び”を避けていく。銀河系辺境の”盟主”を明け渡すともに。ハードSFほど難解ではななく、様々なSF的要素のキモは押さえながらも暖かい出会いが基本の物語で、4巻をすいすいと読めた。
それにしても、なぜ良質なSFを書く作家に限って”人類を超える大いなる存在”が登場するんだろう?この広い宇宙で異星人との出会いが基本的に不自然なことをどうしてもごまかせず、それゆえに宇宙の生命を操る存在に頼ることになるのだろうか。そこらへん、聞いてみたいところ。
初版2002/01~2003/11 角川春樹事務所/ハルキ文庫
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