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2007.12.27

書評<時砂の王>


26世紀、人類は機会生命体との戦いにおいそれまでの劣勢を挽回し、反撃に出ていた。窮地に陥った機械生命体は、時間遡行を繰り返し、過去の人類へ攻撃を始める。対する人類も、メッセンジャーなる知性体を作り出し、人類に手を貸すべく過去に送り込む。物語は、多くの戦いを経た知性体オーヴィルが邪馬台国にたどり着くところから始まる。

時間遡行によって歴史が改変されようとも、その分岐した歴史において人類が勝利していればいい。過去の多くの時間旅行SFにおいてタブーと設定された歴史改変をあえて受け入れ、それゆえに知性体が抱かざるをえない苦悩を描き出したSF。だが、本作においてはそうしたSFとしての魅力よりも、なんといっても彌与、すなわち卑弥呼の魅力につきる。誇り高く、王としての責務を忘れず、敵に立ち向かう気高い姿がまさに理想の女王として描かれる。日本の国家としての歴史に彼女の存在があったことが誇りに感じ、まさにフィクションであることを忘れてしまいそうになるほどである。

初版2007/10 早川書房/ハヤカワ文庫JA

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