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2007.12.15

書評<図書館戦争>


”公序良俗”を旗印に、”非教育的図書”を排除するために実力行使も辞さないメディア良化委員会と、出版と読書の自由を守るために蔵書を武力を持って死守する図書館員会の戦いが続く日本。その特殊部隊に配属された熱い新人、郁は指導教官やクールな同僚とぶつかりながらも図書館員として成長していく。

本好きの心をくすぐる設定だけでなく、物語も巧みに進行し、多くの本雑誌に取り上げられるのもうなずける。いつまでも書店に平積みされるベストセラーながら、なかなかBOOKOFFなんかに流通しないのも、購入者が大切にしてるからなんだろうな。その設定はごくシリアスなのだが、そこに固執することはなく若者の成長物語として描かれている。設定や世界観にあえて寄りかからずに人間の姿を描く手法には好感が持てる。
ただし、BARSERGAさんも書いているように、ハードカバーにして単価を拡げるのはどうなのかな。ライトノベルの延長で読む大人の小説っていう位置づけなんだろうけど、やっぱりハードカバーって敷居が高いし、読者層が広がらないのではないかと思う。この作者、いいじゃんと思っても、著作が全部ハードカバーじゃ、ちょっと追いつけない。
まあ、ケータイ小説がハードカバーでガンガン売れる時代だからなあ。価格的なハードルを上げるのが返っていいのかも。

初版2006/02   メディアワークス/ハードカバー

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Comments

>>ハードカバーにして単価を拡げるのはどうなのかな

 著者の方には申し訳ないんですが、単価の高いハードカバーと安い文庫本で同じ内容が読めるのなら、ワタシは迷わず文庫本を選択します。そのうえ文庫本は小さくて軽いので持ち運びにも便利ですし。だからどんなに内容が良さ気な作品でも、ハードカバーである限りは買うことはないと思います。例えブコフとかで安く出ていても、です。

 メディアワークスだって電撃文庫というラノベ主体の文庫レーベル持ってるんですから、そっちに落としたっていいんではないですかねぇ。まぁ「あえて文庫にせず、ラノベの読者層とは違う層を狙う」という戦術なのだらうとは思いますが。

>KWATさん
>ラノベの読者層とは違う層を狙うという戦術
メディアワークスは新しい会社なので、ハードカバーがどうしても欲しかったのかな、とも思います。
ただねえ、やっぱり電撃文庫でいいですよねえ。

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